今月の栄養学の専門ジャーナルに、血中ビタミンD値と市中肺炎リスクとの関連を調べた研究が報告されていました。
(
Nutrients. 2014 Jun 10;6(6):2196-205.)
ビタミンDには免疫調節作用や抗がん作用があることから、
アンチエイジング医学の分野では、ベーシックなサプリメントとして、一日あたり1,000 IUから2,000 IUのサプリメント摂取が推奨されています。
先行研究では、
血中ビタミンD値が低いと、感染症リスクがくなることが知られています。
そこで、今回の研究では、
血中ビタミンD値と、
市中肺炎(CAP; community-acquired pneumonia、院外感染性肺炎)リスクとの関連が検証されました。
具体的には、
CAPあるいは敗血症のために入院した患者132名(平均年齢60歳、女性71%、白人86%)を対象に、
過去15か月間について、血中ビタミンD値が調べられています。
基礎疾患など交絡因子で補正された結果、
ビタミンD値が37 nmol/L未満の場合、
CAPによる入院が有意に高いことが見出されたということです。
(OR 2.57, 95% CI 1.08-6.08)
また、敗血症患者と、対照群の合計422名(平均年齢65歳、女性59%、白人91%)の解析では、
血中ビタミンD値が37 nmol/L未満では、
敗血症による入院リスクが有意に高いという相関が認められました
(OR 1.75, 95% CI 1.11-2.77)
以上のデータから、
血中ビタミンD値が低いと、
CAP発症リスクおよび敗血症のリスクがくなるという相関が示唆されます。
今後、ビタミンDサプリメントの投与試験による検証が期待される分野です。
類似した研究として、
ビタミンD値が低いと市中肺炎リスクが高まる
という報告もあります。
近年、ビタミンDは、骨の健康維持だけではなく、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な効果が示されています。
一般に、
健康保持や疾病予防の目的で利用されるビタミンD3サプリメントの摂取量は、
1日あたり
25マイクログラム(1,000IU)から50マイクログラム(2,000IU)です。
ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。
日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
DHCでは、
ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000 IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/mL増加する、
という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。
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