予防医学の専門ジャーナルに、心筋梗塞の既往がある脂質異常症患者において、コエンザイムQ10投与による脂質代謝改善作用を示した臨床研究が、イランのグループ(Iran University of Medical Sciences)から報告されていました。
(
Int J Prev Med. 2015 Aug 7;6:73.)
今日、9月10日は、
きゅう(9)てん(10)の語呂合わせで、
「Q10(コエンザイムQ10)の日」なのだそうです。
コエンザイムQ10は、抗酸化作用やATP産生作用を有する機能性成分で、体内でも産生されます。
しかし、加齢とともに内在性コエンザイムQ10は減少し、生活習慣病や慢性疾患でも低下がみられることから、アンチエイジング分野で広く摂取が推奨されているベーシックサプリメントです。
「Q10の日」なので、コエンザイムQ10についての研究を読んでみました。
今回の研究では、
心筋梗塞の既往があり脂質代謝異常を有する患者において、
コエンザイムQ10サプリメント投与による脂質代謝および炎症への作用が検証されました。
具体的には、
二重盲検偽薬対照試験として、
心筋梗塞の既往があり、脂質異常症を有し、スタチン剤服用中の患者52名(男性39名、女性13名)を対象に、
・コエンザイムQ10(1日あたり200mg)投与群26名
・偽薬投与群26名の2群について、
12週間の介入が行われ、
血中の脂質代謝(HDL,LDL.TG)ICAM-1、IL-6などの指標が測定されています。
(被験者は、35-70歳の間に心筋梗塞の既往があります。
また、βブロッカー、スタチン剤、抗血栓剤を服用しています。)
解析の結果、
介入後に、HDL値が、
偽薬対照群よりもCoQ10投与群のほうで上昇していました。
(CoQ10投与群;55.46 ± 6.87 mg/dl、偽薬投与群;44.07 ± 6.99 mg/dl、 P < 0.001)
なお、
総コレステロール値、LDL、TGでは両群間に有意差は見出されていません。
また、
ICAM-1値とIL-6値は、CoQ10投与群において、偽薬群に比べて有意な減少が認められました。
(ICAM-1値; CoQ10群=415.03 ± 96.89、偽薬群=453.38 ± 0.7 ng/dl, P = 0.001)
(IL-6値; CoQ10群=11 ± 9.57、偽薬群= 12.55 ± 8.76 pg/ml, P = 0.001)
以上のデータから、
心筋梗塞の既往があり、スタチン服用中の脂質異常症患者において、
コエンザイムQ10による脂質代謝への好影響が示唆されます。
最近では、下記の研究が報告されています。
コエンザイムQ10によるスタチン剤の副作用症状抑制効果
医薬品では、スタチン剤が広く処方されますが、スタチン剤は内在性コエンザイムQ10濃度を下げてしまうため、スタチン剤服用中にはコエンザイムQ10サプリメントの摂取が必須となります。
スタチン不耐症の脂質異常症患者に対して、紅麹投与による脂質代謝改善作用を示したランダム化比較試験も知られています。
(なお、スタチンおよび紅麹のいずれも、
コエンザイムQ10との併用が有用です。)
コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。
還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)
コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。
したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、
酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。
一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、
還元型CoQ10の利用が推奨されます。
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