泌尿器科学の専門ジャーナル(電子版)に、ノコギリヤシによる下部尿路症状改善作用と抗炎症作用を示した臨床研究が、フランスのグループから報告されていました。
(
Prostate. 2015 Aug 26.)
男性では、加齢に伴って前立腺肥大症(BPH)による排尿障害などの症状が生じます。
良性疾患である前立腺肥大症に対して、サプリメントでは、
ノコギリヤシ(学名serenoa repens)が用いられています。
今回の研究では、
前立腺肥大症に伴う下部尿路症状および炎症関連マーカーに対するノコギリヤシ抽出物による作用が検証されました。
具体的には、
ランダム化二重盲検法にて、
タムスロシン(ハルナール)を実薬対照とし、
下部尿路症状を有する前立腺肥大症(BPH)患者206名を対象に、
・ノコギリヤシエキス(320mg)投与群
あるいは
・タムスロシン(0.4 mg)投与群
の2群について、3ヶ月間の介入試験が行われています。
介入の前後において、
BPHに関連した29種類の炎症マーカー(タンパク質とmRNA)が測定されました。
解析の結果、
90日の投与後の時点で、
炎症関連遺伝子発現量は、
ノコギリヤシ投与群では、
平均65.4%減少、
タムスロシン投与群では、
平均46.2%減少
でした。
最も多く発現している15種類の遺伝子では、
両群の差はより顕著となっています。
(80% vs. 33%)
次に、
3種類のタンパク質(MCP-1/CCL2, IP-10/CXCL10, MIF)について検証されました。
90日後の時点で、
これらのタンパク質発現の減少が認められた患者は、
ノコギリヤシ投与群のみでした。
さらに、MIF発現は、
タムスロシン投与群に比べて、
ノコギリヤシ投与群のほうで、有意な減少が認められています。
(P = 0.007)
タムスロシン投与群に比べて、
ノコギリヤシ投与群のサブ解析では、
MIF発現が投与前に高値であった群では、
発現が少なかった群に比べて、
IPSSの改善効果がより顕著であったということです。
(mean I-PSS change: -6.4 vs. -4.5 respectively)
以上のデータから、
前立腺肥大症において、
ノコギリヤシによる下部尿路症状改善及び抗炎症作用が示唆されます。
医薬品のタムスロシンでも症状改善作用は期待できますが、慢性炎症改善という効果を考えると、ノコギリヤシのほうが安全性と有効性の点から優れていると考えられます。
DHCでは、下記のサプリメントがあります。
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ノコギリヤシに関しての臨床試験や基礎研究では、次のような報告があります。
男性型脱毛症(AGA)に対するノコギリヤシの効果
ノコギリヤシの安全性を示した臨床試験
・ノコギリヤシによる前立腺肥大症と勃起障害の症状改善作用
・前立腺の健康維持にはノコギリヤシ+リコピン+セレン
・ノコギリヤシによる細胞増殖抑制作用
・ノコギリヤシによるBPH症状改善作用
・ノコギリヤシの前立腺肥大症改善作用
・前立腺切除術前のノコギリヤシ投与の効果
・ノコギリヤシ複合サプリによる慢性前立腺炎改善効果
・ノコギリヤシ・カボチャ種子による前立腺肥大症
・前立腺切除術の出血にノコギリヤシは影響しない
・ノコギリヤシでは医薬品との相互作用報告はなし
・男性型脱毛症とノコギリヤシ
・ノコギリヤシの安全性に関する系統的レビュー
・前立腺炎に対する補完療法としてのノコギリヤシ
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