臨床神経学の専門ジャーナルに、イチョウ葉エキスによるシスプラチンの副作用軽減作用を示した臨床研究が報告されていました。
(Int Tinnitus J. 2015;19(2):12-9)
イチョウ葉エキスは、認知症の予防や症状の進行抑制を目的として広く利用されている機能性食品成分です。
イチョウ葉エキスは、抗酸化作用を有し、ラジカルスカベンジャーとしての作用を持っています。
今回の研究では、
歪成分耳音響放射テストを用いて、
抗がん剤のシスプラチン誘導性難聴に対する
イチョウ葉エキス(GBE761)の作用が検証されました。
具体的には、
ランダム化二重盲検偽薬対照試験として、
シスプラチン治療を開始したがん患者を対象に、
・シスプラチン+偽薬投与群(7名)
・シスプラチン+イチョウ葉エキス(240 mg/日)投与群(8名)
の2群について、介入が行われました。
両群とも、シスプラチンの最初の投与前に、
偽薬あるいはイチョウ葉エキスが投与され、90日間のフォローアップが行われました。
シスプラチンの最大累積投与量は、300 mg/m(2)でした。
聴覚毒性は、シスプラチン治療後、歪成分(結合音)耳音響放射検査(DPOAE)にて測定されました。
(DPOAEは、内耳、特に外有毛細胞という聴力の感覚細胞に、周波数の異なる音を与え蝸牛より外耳道に放射される歪成分を検出するという検査です。)
(DPOAEにより、シスプラチン開始前、治療30日後、60日後、90日後に測定)
CDDP用量の累積最大量と投与前の比較の結果、
介入群に比べて、対照群では、DPOAEで、SN比(信号とノイズの割合、signal/noise ratio)が有意に小さくなっていました(p < 0.05)
。
以上のデータから、
イチョウ葉エキス(GBE761)の抗酸化作用により、
シスプラチン投与時の聴覚障害に対するリスク低減作用が示唆されます。
今後、質の高い研究により臨床的意義の検証が期待される分野です。
イチョウ葉エキスは、抗酸化作用や血小板凝集抑制作用、循環改善作用を有し、認知症の予防や閉塞性硬化症の改善に用いられるハーブサプリメントです。
イチョウ葉エキスには、特有のフラボノイド系ファイトケミカルが存在し、抗酸化作用や抗炎症作用、血小板凝集作用などを介して、効果を発揮します。
これまでに多くの臨床研究が行われており、認知症などに対して有効性と安全性が示されています。
(
イチョウ葉エキスによる認知症改善効果@ドイツ)
(
イチョウ葉エキスの有効性と安全性)
(
イチョウ葉エキス20年間摂取による認知機能低下抑制作用)
(
イチョウ葉エキスと認知症治療薬のシナジー)
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