地震で被災された方々にお見舞い申し上げます。
私は15日(金)の午前中に、九州に仕事で向かうのですが、先方の様子も心配です。
さて、本日の私的なお勉強日記です。
今月の補完療法の専門ジャーナルに、急性リンパ性白血病の小児患者での発熱性好中球減少症の頻度に対するハチミツ(蜂蜜)の作用を検証した臨床研究が、エジプトのグループ(Ain Shams University)から報告されていました。
(
Complement Ther Med. 2016 Apr;25:98-103)
急性白血病などの造血器疾患および固形がんに対して、化学療法や放射線療法の施行時、これらの治療による骨髄抑制が生じます。
その結果、好中球が減少し、発熱性疾患として、発熱性好中球減少症(FN)のリスクが高まります。
発熱性好中球減少症(FN)に対しては医薬品もありますが、高価であり、副作用もあります。
そこで、今回の研究では、天然素材であるハチミツ(蜂蜜)によるFNへの補完療法としての作用が検証されました。
ハチミツは、抗酸化作用や抗菌作用、免疫調節作用を有しています。
2011年3月から2013年8月まで、大学の小児病院において、
ランダム化クロスオーバー試験として、
急性リンパ性白血病ALLの小児40名(2.5〜10歳)を対象に、
ハチミツ2mL (2.5グラム)/kg体重を2回/週で、12週間の投与が行われました。
(ハチミツ12週間の投与、あるいは、非投与の12週間としてのクロスオーバー)
なお、糖尿病患者および登録時にFNを有している患者は除外されています。
試験期間中にFNを発症した被験者は、加療を受けています。
(抗生剤の静脈投与:piperacillin (200mg/kg/24hr, divided q 6hr) とamikacin (20mg/kg q24hr))
アウトカムは、入院中のFNの頻度と期間です。
解析の結果、
介入によって、
発熱性好中球減少症(FN)エピソード、FNにより入院した患者の数、および入院日数の有意な減少が認められました。
また、ハチミツ摂取により、ヘモグロビン値の改善も示されています。
特に重篤な副作用は見られませんでした。
ハチミツ投与/非投与の順番のクロスオーバーの介入群では、
ハチミツの効果の離脱と思われる症状として、
ヘモグロビンの低下、好中球数の減少、血小板数の減少が認められています。
以上のデータから、
急性リンパ性白血病の小児患者において、
ハチミツ(2ml/kg体重×週2回)の投与により発熱性好中球減少症(FN)リスク低減作用が示唆されます。
日本は国民皆保険で、標準治療が受けられますので、ハチミツが必須、ということにはなりませんが、副作用もないため、補完療法としては興味深いと思います。
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