肝臓がん切除後の患者において、ビタミンB6の抗酸化作用を介した血中ホモシステイン値の低下(改善)作用を示した臨床研究が、台湾のグループから報告されていました。
(
Biomed Res Int. 2016;2016:7658981)
ビタミンB6は、抗酸化作用を有しています。
今回の研究では、
肝細胞がん切除術施行後の患者において、
ビタミンB6サプリメントの抗酸化作用の有用性が検証されました。
具体的には、
肝細胞がん(HCC)患者33名を対象に、
・ビタミンB6 (50mg/日)投与群:17名
・偽薬投与群:16名
の2群について、
12週間の介入が行われています。
血中ピリドキサールリン酸(B6 の活性型), ホモシステイン値, 酸化ストレスマーカー、抗酸化指標が測定されました。
解析の結果、
12週間の介入後、
ビタミンB6投与群では、
血中ホモシステイン値の有意な減少、
および
抗酸化能の有意な増加が認められたということです。
(抗酸化能;trolox equivalent antioxidant capacity TEAC)
また、
各種の交絡因子で補正後、
ビタミンB6投与による血中ホモシステイン値の低下は有意でしたが、
(β=-2.4, p=0.02)
TEACの変化では有意差はありませんでした。
なお、
交絡因子で補正後、
血中ホモシステイン値の変化は、
TEACの変化と有意に相関していました。
(β=-162.0, p=0.03)
論文著者らは、
腫瘍切除後の肝細胞がん患者において、
ビタミンB6サプリメント投与は、
直接的な抗酸化作用ではなく、
血中ホモシステイン値の低下を介した抗酸化作用を有する、
と考察しています。
ホモシステインは、SH基をもつ還元性アミノ酸です。
ホモシステインが酸化される過程において、活性酸素が生じ、血管内皮細胞障害などを引き起こし、動脈硬化を起こすとされています。
今回の研究から、
高ホモシステイン血症での動脈硬化進展に、ホモシステイン自体に加えて、ビタミンB6低下に伴う抗酸化能の低下も関連していると考えられます。
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