昨日に続いて、チアシード(Salvia hispanica L.)の臨床試験に関する論文を読んでみました。
栄養学の専門ジャーナルに、チアシード粉(Chia flour)による降圧作用を示した臨床研究が、ブラジルのグループから報告されていました。
(
Plant Foods Hum Nutr. 2014 Dec;69(4):392-8.)
最近、いわゆるスーパーフードとして、チアシード(Chia Seed)が注目されています。
特異的なファイトケミカルや機能性があるというよりは、現代の食生活に取り入れることで、
全般的な栄養バランスの改善が期待されています。
チアシードには、タンパク質、オメガ3系脂肪酸(α-リノレン酸)、ミネラル、食物繊維が含まれています。
今回の研究では、
チアシード粉による血圧および心血管リスクへの作用が検証されました。
具体的には、
高血圧患者を対象に、
・チアシード粉摂取+降圧剤投与群(CHIA-MD, n = 10)
・チアシード粉摂取+高血圧未治療群 (CHIA-NM, n = 9)
・偽薬対照試験(PLA-MD, n = 7)
の3群について介入が行われました。
被験者には
1日あたり35グラムのチアシード粉、あるいは偽薬が12週間、投与されています。
アウトカムとして、
血圧、炎症および酸化ストレスマーカーなどが測定されました。
解析の結果、
偽薬対照群では、
血圧には有意な変化は認められませんでした。
一方、
チアシード粉の投与群では、
臨床的な平均血圧の有意な減少が認められたということです。
(CHIA; 111.5 ± 1.9 to 102.7 ± 1.5 mmHg, p < 0.001)
(CHIA-MD; 111.3 ± 2.2 to 100.1 ± 1.8 mmHg, p < 0.001)
CHIA-NM群では、
平均血圧には有意な減少は認められませんでしたが、
収縮期血圧の有意な低下が見出されています。
(146.8 ± 3.8 to 137.3 ± 3.1 mmHg, p < 0.05)
また、
自由行動下血圧測定によると、
いずれの介入群でも、
収縮期血圧の低下が見出されていますが、
平均血圧の低下はチアシード粉投与群のみでした。
(98.1 ± 2.4 to 92.8 ± 2.2 mmHg, p < 0.05)
拡張期血圧では有意な変化は認められていません。
脂質過酸化は、
偽薬対照群に比べて、
チアシード粉投与群のいずれでも有意な減少が認められました。
(CHIA , p = 0.04; CHIA-NM p = 0.02)
以上のデータから、
高血圧患者において、
降圧剤との併用あるいは未治療の高血圧患者のいずれにおいても、
チアシード粉の摂取による降圧作用が示唆されます。
チアシードは、スーパーフードとしてブームになっています。
グルテンフリーという訴求もあるようです。
ただし、特異的な機能性のあるファイトケミカルやポリフェノールが存在する、というわけではなく、
(この点は、クロレラやスピルリナ、みどりむし/ユーグレナなどと同じです。)
白米や白パンなど精製された炭水化物を摂るよりも、それらと置き換えて摂取することで、生活習慣病のリスク低減が期待できる、という位置づけです。
一般に、チアシードは、その摂取により、顕著な減量や内分泌代謝指標の改善といった作用を示すのではなく、従来の食事の一部をチアシードで置き換えることで生活習慣病の予防や改善効果が示唆される、と思われます。
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