今月の精神医学研究の専門ジャーナルに、精神疾患の治療における栄養サプリメントの安全性と有効性を検証したメタ解析が、欧州各国と豪州のグループから報告されていました。
(World Psychiatry. 2019 Oct;18(3):308-324.)
うつ病から統合失調症まで様々な精神疾患に対して、
ビタミンB群やオメガ3系必須脂肪酸(EPAやDHA)の有用性が報告されてきました。
オメガ3系必須脂肪酸による統合失調症への早期介入効果:メタ解析
統合失調症におけるビタミンBサプリメントの有用性:メタ解析
ウコン(クルクミン)がうつ病を改善:メタ解析
さて、
今回のメタ解析では、
一般的な精神疾患から重症の精神疾患に対して、ビタミン類、ミネラル類、抗酸化成分、アミノ酸、プレ/プロバイオティクスなどの各種の栄養サプリメント/補助食品による有用性が検証されました。
具体的には、
主要医学データベースを用いて関連論文が検索され、
偽薬対照のRCT33報がメタ解析の対象となりました。
10,951名分のデータが解析された結果、
まず、
うつ病に対する補完療法として最も有用性が高いのは、オメガ3系必須脂肪酸(特に、EPA)でした。
また、オメガ3系脂肪酸は、ADHDにも有用性が見出されました。
ただし、統合失調症での有用性は検出できませんでした。
次に、葉酸含有サプリメントは、
うつ病や統合失調症に対する補完療法として広く研究されており、
重症うつ病に対するメチル化葉酸(葉酸の代謝/活性型)の高用量投与が有用と考えられました。
さらに、
気分障害と統合失調症に対して、Nアセチルシステインが補完療法として有用でした。
なお、
すべての栄養サプリメントの介入試験では、高い安全性が示されており、
精神疾患への投与において、重篤な有害事象報告はありませんでした。
以上、今回のメタ解析から、
精神疾患の治療において、ビタミンやオメガ3系脂肪酸などの栄養サプリメントは、補完療法として有用であると考えられます。
そもそも
ビタミンB群やオメガ3系脂肪酸(EPAやDHA)は、神経細胞の機能維持に必須の栄養素ですので、健常者から有病者まで広く摂取するべきといえます。
(有病者では、比較的高用量が必要と考えられます。)
精神疾患に関しては、次の報告があります。
セントジョーンズワートは、うつ病に対して医薬品と同等の効果を示す:メタ解析
重症うつ病に対するクルクミン(ウコン)の効果:メタ解析
ウコンと抗うつ薬の併用によるシナジー
クルクミン/サフランによる重症うつ病への作用
双極性うつ病に対するコエンザイムQ10の補完療法としての有用性
統合失調症の発症前にはビタミンD不足と葉酸不足が先行:メタ解析
オメガ3系必須脂肪酸による統合失調症への早期介入効果:メタ解析
統合失調症におけるビタミンBサプリメントの有用性:メタ解析
統合失調症におけるビタミンBサプリメントの有用性:メタ解析
ウコン(クルクミン)がうつ病を改善:メタ解析
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