内分泌代謝学の専門ジャーナル(電子版)に、レスベラトロールによる糖代謝改善作用を示した基礎研究が報告されていました。
(
Metabolism. 2011 Sep 23.)
レスベラトロールは、赤ワインなどにも含まれるポリフェノールの1種です。
レスベラトロールは、長寿遺伝子であるサーチュイン遺伝子を活性化することが知られています。
近年のアンチエイジング研究では、レスベラトロールが長寿遺伝子を活性化することが話題になっています。
この数年、レスベラトロールに関する研究が盛んになり、様々な作用が示されています。
今回の研究では、レスベラトロールによるインスリン作用への働きがin vitroとin vivoで検証されました。
まず、3T3-L1脂肪細胞系を用いて、インスリンシグナルに対するレスベラトロールの作用が測定されています。
レスベラトロール処理群では、非処理群に比べて、インスリン刺激時のIRS-1チロシンリン酸化(Y612)が抑制され、Aktのリン酸化(Ser473)も同様に抑制されています。
一方、インスリン抵抗性のモデル培養系では、レスベラトロールは、NOS発現の抑制やインスリン刺激Aktリン酸化(Ser473)の亢進作用を示しました。
次に、高脂肪食誘導肥満マウスを用いて、インスリン感受性に対するレスベラトロールの作用が調べられています。
レスベラトロールを(30 mg/kg/日)2週間、投与したところ、空腹時血糖値と血中インスリン値の低下、肝グリコーゲン貯蔵の増加、脂肪肝の改善が認められたということです。
(このとき、体重に変化はありません。)
肥満マウスの肝臓組織と白色脂肪細胞では、インスリン誘導性Aktリン酸化が低下したのに対して、レスベラトロール投与によって正常化しました。
一方、肥満マウスの骨格筋組織においてみられたインスリンシグナル伝達における変化は、レスベラトロール投与でも改善しませんでした。
以上のデータから、レスベラトロールは、インスリンシグナル伝達機構に作用し、インスリン感受性/抵抗性の状態によって異なる作用を示すと考えられます。
今後、2型糖尿病に対する予防や治療について、レスベラトロールの臨床的意義の検証が期待されます。
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