今月の実験生理学の専門ジャーナル(電子版)に、高齢者において、L-シトルリン摂取による運動時の筋肉血流増加作用を示した臨床研究が、米国のグループ(Texas Tech University)から報告されていました。
(Exp Physiol. 2017 Sep 20.)
アミノ酸の1種であるL-シトルリンは、循環改善作用が示唆されており、血管機能の改善、高血圧予防を目的としたサプリメント成分として利用されています。
(
L-シトルリンは、スイカ抽出物に豊富に含まれます。)
なお、血管内皮機能の維持という作用では、L-アルギニンの効果も知られています。
ただし、L-アルギニンは、一般に、ファーストパスの肝臓で多くが代謝されてしまうので、L-シトルリンを投与するほうが、NO産生やFMD改善といった点でより効果的と考えられます。
先行研究では、次の報告があります。
西瓜(スイカ)サプリメントによる血管機能改善と運動能の向上:レビュー
シトルリンによる勃起障害改善作用
ピクノジェノール+L-シトルリンによる勃起障害(ED)改善効果
さて、
今回の研究では、
高齢者にいて、
シトルリンサプリメントの摂取が、運動時の筋肉血流を増加するかどうか、検証されました。
具体的には、
ランダム化二重盲検偽薬対照クロスオーバー試験として、
高齢者25名(男性13名、女性12名)を対象に、
・1日あたり6グラムのL-シトルリンサプリメント
・偽薬
の2群について、
14日間の介入が行われ、
投与の前後で、
大腿動脈血流の指標が、
ドップラー超音波および血管コンダクタンスにより調べられています。
また、
血中アルギニンや安静時血圧も介入の前後で測定されました。
男女での運動時の性差が想定されることから、それぞれ別に解析されています。
解析の結果、
まず、
血中アルギニン値は、
シトルリン投与により、
女性で30%
男性で35%
それぞれ有意に上昇しました。
(P < 0.01)
一方、偽薬投与では有意な変化は示されませんでした。
また、
シトルリン投与により、
男性では、
拡張期血圧の有意な低下が認められましたが
(75 ± 9 vs. 71 ± 6 mmHg, P = 0.02)
女性では有意な変化は示されませんでした。
次に、
高負荷の運動後の血流と血管コンダクタンスは、
男性では、
シトルリン投与により、
有意な上昇が認められ、
(flow: 521 ± 134 vs. 584 ± 166 mL min-1 , P = 0.04; FVC: 5.0 ± 1.5 vs. 5.8 ± 1.7 mL min mmHg-1 , P = 0.01)
偽薬投与では有意な変化は示されませんでした。
また、女性でも有意な変化は見出されませんでした。
以上のデータから、
高齢男性の運動時において、
L-シトルリンサプリメント摂取による筋肉の血流増加作用が示唆されます。
今後、ロコモティブ症候群予防など臨床的意義の検証が期待される分野です。
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