サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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妊娠初期の葉酸サプリメントが自閉症のリスクを低減する [2017年09月27日(水)]
今月の環境医学の専門ジャーナルに、妊娠初期の葉酸サプリメントの摂取、および、母体の農薬/殺虫剤への暴露と、子供の自閉症スペクトラム障害(ASD)との関連を検証した疫学研究が、米国のグループ(University of California Davis School of Medicine)から報告されていました。
(Environ Health Perspect. 2017 Sep 8;125(9):097007.)



葉酸は、ビタミンB群の1種です。

妊娠初期において、胎児の神経系の発育に必須であり、葉酸サプリメントの摂取が推奨されています。


また、
母体の葉酸摂取は、

ある種の環境化学物質の毒性から、胎児の発育を守る、と考えられています。


先行研究では、次の報告があります。
妊娠中の葉酸サプリメント摂取が自閉症リスクを低減:系統的レビュー

自閉症(Autism spectrum disorder、ASD、自閉症スペクトラム障害)は、社会生活での関係性、言語および非言語でのコミュニケーションなどで困難が認められます。



そこで、今回の研究では、

母親の葉酸サプリメントの摂取、
および
母親の農薬/殺虫剤への暴露と、

子供の自閉症ASDリスクとの関連が検証されました。


具体的には、

症例対照研究として、

2000年から2007年にカリフォルニアで生まれた小児を対象に、

2〜5歳の時点で、ASDと診断された参加者296名
あるいは
正常対照群220名
の2群について、

母親に関する調査(葉酸摂取、家庭での殺虫剤利用)が、2003年から2011年にかけて、後ろ向き調査として行われました。

(Childhood Autism Risks from Genetics and the Environment (CHARGE)という研究の一環です。)

葉酸摂取は、1日あたり800マイクログラム以上と未満の2群に分けられています。


また、母親の住所は、

農業利用の農薬/殺虫剤暴露について、商業応用の州データベースとリンクして調べられています。


解析では、

葉酸の高摂取群(800マイクログラム以上)で、かつ、妊娠1ヶ月目に農薬/殺虫剤への暴露がなかった母親を対照群と設定しました。


解析の結果、

ASDのリスクは、

対照群に比べて、

・葉酸の摂取が800マイクログラム未満の群で、かつ、室内での殺虫剤暴露がある群では、リスクが2.5倍、
[OR]=2.5 [95% confidence interval (CI): 1.3, 4.7]}

・葉酸の摂取が800マイクログラム未満の群では、リスクが1.2倍

[OR=1.2 (95% CI: 0.7, 2.2)]

・室内での殺虫剤暴露がある群では1.7倍
[OR=1.7 (95% CI: 1.1, 2.8)]

でした。


また、

葉酸摂取が低用量(800マイクログラム未満)で、

6ヶ月間以上のペット向け殺虫剤あるいは屋外での殺虫剤噴霧の組み合わせでのリスクは、

それぞれ3.9倍
(95% CI: 1.4, 11.5)

4.1倍
(95% CI: 1.7, 10.1)
でした。


さらに、

母体での低用量の葉酸摂取と、

妊娠の前3ヶ月あるいは後3ヶ月の農薬暴露の場合、

クロルピリホス(有機リン化合物)では2.2倍
(95% CI: 0.7, 6.5)

有機リン酸エステルでは2.3倍
(95% CI: 0.98, 5.3)

ピレスロイド類では 2.1倍
(95% CI: 0.9, 4.8)

カルバミン酸では1.5倍
(95% CI: 0.5, 4.8)

でした。


以上のデータから、

妊娠1ヶ月の時点で、

母体の葉酸摂取が多い群や農薬暴露がない群では、

小児の自閉症ASDリスクが低い、という相関が示唆されます。

なお、今回は、アメリカのカリフォルニア州で住民を対象にした調査ですので、日本でそのまま当てはまるわけではありません。

今後、さらに検証が期待される分野です。



葉酸サプリメントは、動脈硬化を予防し、脳卒中や認知症のリスクを低下させるというエビデンスが確立しています。

葉酸サプリメントの投与によって、血中ホモシステイン値が低下し、

ホモシステインによる血管内皮障害が抑制されることで、

動脈硬化性疾患のリスクが低下すると考えられます。


実際、これまでの観察研究や疫学研究において、
血中ホモシステイン値が低いと、脳卒中や心血管疾患の発症率が低いことが示されています。


葉酸サプリメントで脳卒中が10%低下、心臓病が4%低下:メタ解析


葉酸サプリメントはACE阻害剤との併用で脳卒中を31%低減する

葉酸は、食品にも含まれますが、プテロイルポリグルタミン酸という形であり、利用効率は50%です。

一方、サプリメントに利用されている合成された葉酸は、プテロイルモノグルタミン酸であり、生体での利用効率が85%と高いことが特徴です。



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