サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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コエンザイムQ10による心不全改善効果 [2014年10月08日(水)]
今晩、仕事帰りに、道路で10人くらいの人が携帯で向かいの高層ビルの画像をとっているように見えたので、何があるのかな、と思って、その方向を見たら、ちょうど、月食のタイミングでした。

月食を見たのは初めてのような気がします。



さて、本日の私的なお勉強日記です。

循環器学の専門ジャーナル(電子版)に、コエンザイムQ10による心不全改善効果を示した臨床研究が、欧州とオセアニアの多施設共同研究として報告されていました。
(JACC Heart Fail. 2014 Sep 25.)



コエンザイムQ10は、日本では軽度及び中等度のうっ血性心不全の治療薬として認可されています。


ただし、保険収載のノイキノンは、一日用量が30mgであり、低用量過ぎて、臨床的な効果はみられません。

コエンザイムQ10の臨床試験では、90mgから100mg以上の投与が行われています。


アンチエイジング、健康保持では100mg前後、

特定の疾患の治療目的では、200mg〜300mgの投与になります。





さて、今回の研究では、慢性心不全に対する補完療法としてのコエンザイムQ10の効果が検証されました。


具体的には、

2年間の前向き研究の多施設共同研究として、

中等度から重症の心不全患者420名を対象に、


1日あたり300mg(分3)のコエンザイムQ10

あるいは

偽薬のいずれかが、

標準治療に併用して投与されました。




短期間の主エンドポイントは、

16週間の時点でのNYHA分類、

6分歩行テスト、

N末pro-B型ナトリウム利尿ペプチド値

です。



長期間の主エンドポイントは、

2年後までの重大な心血管イベントの発生です。




解析の結果、

短期間の主エンドポイントに有意差は認められませんでした。


長期間のエンドポイントには、

コエンザイムQ10群の15%、

偽薬群の26%が達しました。

(重大な心血管イベントの発生率は、コエンザイムQ10群のほうが50%低い、ということになります。HH 0.50; 95% CI: 0.32 to 0.80; p = 0.003)



また、副エンドポイントも、

偽薬群に比べて、

コエンザイムQ10投与群のほうが低いことが見いだされました。



具体的には、


心血管死亡率:
コエンザイムQ10群では9%、偽薬群では16%,
(p = 0.026)

全死亡率:(10 % vs. 18%, p = 0.018),


心不全による入院の率:(p = 0.033)


が認められています。



その他、

2年後の時点で、

コエンザイムQ10投与群において、NYHAクラスの有意な改善が認められました。
(p = 0.028)



以上のデータから、

慢性心不全に対する補完治療として、

1日あたり300mgのコエンザイムQ10投与は、
安全性が高く、

心血管イベントや死亡率のリスク低下作用が期待できます。






コエンザイムQ10は、抗酸化作用やATP産生作用を有する機能性成分で、体内でも産生されます。
しかし、加齢とともに内在性コエンザイムQ10は減少し、生活習慣病や慢性疾患でも低下がみられることから、アンチエイジング分野で広く摂取が推奨されているベーシックサプリメントです。




コエンザイムQ10には、

酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と

還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。



従来、コエンザイムQ10サプリメントは、酸化型CoQ10(=ユビキノン)であり、
経口摂取した後、体内で還元型CoQ10に転換され、効果を示してきました。

近年、還元型CoQ10サプリメント(=ユビキノール)が供給できるようになり、
還元型CoQ10の有用性を示した研究が報告されるようになっています。


若年者では、従来型のCoQ10サプリメント(酸化型CoQ10のユビキノン)で十分と思われますが、

中高年以上の年代では、
還元型CoQ10サプリメント(=ユビキノール)をベーシックサプリメントとして推奨できるエビデンスが整いつつあります。






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