サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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ノコギリヤシによる前立腺肥大症・前立腺炎に伴う各種症状の改善 [2012年09月12日(水)]
泌尿器科学の専門ジャーナルに、ノコギリヤシ投与による前立腺肥大症および慢性前立腺炎に伴う下部尿路症状、勃起障害スコア、QOLの改善作用を示した臨床研究が、イタリアのグループから報告されていました。
(Arch Ital Urol Androl. 2012 Jun;84(2):94-8.)



男性では、加齢に伴って前立腺肥大症(BPH)による排尿障害などの症状が生じます。


良性疾患である前立腺肥大症に対して、サプリメントでは、ノコギリヤシ(学名serenoa repens)が用いられています。




(ノコギリヤシは,多くの臨床試験によって有効性が示されており,安全性の高いハーブです。医薬品と比べても副作用が少なく,広く推奨できるサプリメント成分です。)


また、前立腺肥大症(BPH)は、勃起障害(ED)の原因ともなりますし、
BPHの治療に用いられるαブロッカーや5-α-還元酵素阻害薬といった薬の副作用として、EDが生じるリスクもあります。


一方、ハーブサプリメントでは、ノコギリヤシが、軽症から中等度のBPHの症状改善に有用であることが、これまでに多くの臨床研究によって示されています。



さて、今回の研究では、慢性前立腺肥大症であり炎症を有する患者を対象に、ノコギリヤシ投与による下部尿路症状(LUTS)、性機能、QOLに対する作用が検証されました。


具体的には、591名の患者が対象となり、(イタリアの製品の一つであるPermixonという)ノコギリヤシが投与されています。

(患者群には、前立腺肥大症患者と、慢性前立腺炎患者が含まれています。)


IPSS(国際前立腺症状スコア)、NIH-CPSI(米国NIH慢性前立腺症状スコア)、IIEF-5(国際勃起機能スコア)といった指標が、過去6ヶ月間との比較で測定されています。



解析の結果、

6カ月間のノコギリヤシ(Permixon)投与によって、

尿流速計での値の有意な改善、

下部尿路症状の有意な改善、

IPSS、NIH-CPSIスコアの有意な改善が認められたということです。


また、IIEF-5(国際勃起機能スコア)の有意な改善も示されています。





以上のデータから、
ノコギリヤシの6ヶ月間投与によって、前立腺肥大および慢性前立腺炎に関連した下部尿路症状や勃起障害の症状改善作用が示唆されます。








DHCでは関連製品として、

ノコギリヤシ


マカ


トンカットアリ


複合サプリメント

などがあります。




ノコギリヤシに関しての臨床試験や基礎研究では、次のような報告があります。


・ノコギリヤシによる前立腺肥大症と勃起障害の症状改善作用


・前立腺の健康維持にはノコギリヤシ+リコピン+セレン


・ノコギリヤシによる細胞増殖抑制作用


・ノコギリヤシによるBPH症状改善作用



・ノコギリヤシの前立腺肥大症改善作用



・前立腺切除術前のノコギリヤシ投与の効果


・ノコギリヤシ複合サプリによる慢性前立腺炎改善効果


・ノコギリヤシ・カボチャ種子による前立腺肥大症


・前立腺切除術の出血にノコギリヤシは影響しない



・ノコギリヤシでは医薬品との相互作用報告はなし



・男性型脱毛症とノコギリヤシ


・ノコギリヤシの安全性に関する系統的レビュー


・前立腺炎に対する補完療法としてのノコギリヤシ





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ノコギリヤシによる前立腺肥大症と勃起障害の症状改善作用 [2012年05月14日(月)]
植物療法研究の専門ジャーナル(電子版)に、ノコギリヤシによる前立腺肥大症の症状の低下(改善)と、勃起障害の症状改善を示した臨床研究が、英国のグループ(University of London)から報告されていました。
(Phytother Res. 2012 Apr 23.)




男性では、加齢に伴って前立腺肥大症(BPH)による排尿障害などの症状が生じます。


良性疾患である前立腺肥大症に対して、サプリメントでは、ノコギリヤシ(学名serenoa repens)が用いられています。



(ノコギリヤシは,多くの臨床試験によって有効性が示されており,安全性の高いハーブです。医薬品と比べても副作用が少なく,広く推奨できるサプリメント成分です。)


また、前立腺肥大症(BPH)は、勃起障害(ED)の原因ともなりますし、
BPHの治療に用いられるαブロッカーや5-α-還元酵素阻害薬といった薬の副作用として、EDが生じるリスクもあります。


一方、ハーブサプリメントでは、ノコギリヤシが、軽症から中等度のBPHの症状改善に有用であることが、これまでに多くの臨床研究によって示されています。



さて、今回の研究では、多施設共同試験として、
ノコギリヤシによる前立腺肥大症と勃起障害に対する効果が検証されました。


具体的には、患者82名を対象に、1日あたり320rのノコギリヤシが8週間、投与されました。


8週間の介入の結果、

IPSS(国際前立腺症状スコア)は、

14.4±4.7 から 6.9±5.2 へと有意に低下(改善)しました(p<0.0001)。


また、勃起障害について、

BSFI(性的機能評価のための簡易質問票)による評価が行われ、

22.4±7.2 から 31.4±9.2 へと有意な改善が認められています (p<0.0001)。



その他、Urolife BPH QoL-9といった指標でも、
162.7±47.9 から105.0±56.3へと有意な改善が示されました(p<0.0001)。



ノコギリヤシの許容性/安全性についても示されています。


相関分析では、
BPH症状の改善と、ED症状の改善との間に有意な相関が見出されました。



以上のデータから、
ノコギリヤシ投与による前立腺肥大症および勃起障害改善作用が示唆されます。



作用機序は必ずしも明確ではありませんが、ノコギリヤシによるBPH改善の結果、ED症状も改善した、というものかもしれません。

これまでの臨床研究では、ノコギリヤシの評価として、IPSSなどが用いれており、ED関連症状がアウトカムの設定に含まれておらず、報告されてこなかった可能性があります。




DHCでは関連製品として、

ノコギリヤシ


マカ


トンカットアリ


複合サプリメント

などがあります。



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前立腺の健康維持にはノコギリヤシ+リコピン+セレン [2011年08月26日(金)]
今月の泌尿器科学の専門ジャーナル(電子版)に、前立腺肥大の予防に対してノコギリヤシ+リコピン+セレンの併用が有用であることを示した基礎研究が報告されていました。
(J Urol. 2011 Aug 18.)




男性では、加齢に伴って前立腺肥大症による排尿障害などの症状が生じます。


良性疾患である前立腺肥大症に対して、サプリメントでは、ノコギリヤシ(学名serenoa repens)が用いられています。


(ノコギリヤシは,多くの臨床試験によって有効性が示されており,安全性の高いハーブです。医薬品と比べても副作用が少なく,広く推奨できるサプリメント成分です。)


また、前立腺に対する働きとして、リコピンやセレンも知られています。
リコピンはカロテノイド系ファイトケミカルの1種であり、前立腺がん予防が示されています。


セレンは抗がん作用を有するミネラルの1種です。




前立腺の健康維持を目的としたサプリメントでは、
ノコギリヤシ単独投与の他、複数の成分を組み合わせて用いることもあります。



さて、今回の研究では、良性疾患である前立腺肥大症に対して、ノコギリヤシ単独投与と、ノコギリヤシ+リコピン+セレンの組み合わせ投与について、その働きが調べられています。



具体的には、ラットを用いて、14日間のテストステロン(3mg/kg sc)投与群あるいは対照群の2群が作成され、

次に、テストステロン投与群を、

--対照群

--ノコギリヤシ単独投与群(25 mg/kg sc)

--リコピン(3 mg/kg sc)+セレン(3 mg/kg sc)+ノコギリヤシの併用投与群

として14日間の介入が行われました。



解析の結果、ノコギリヤシ単独投与群に比べて、
ノコギリヤシ+リコピン+セレンの併用投与群では、
前立腺の重量および過形成の状態が、より効果的に抑制されたということです。



このとき、細胞増殖に関与する因子の遺伝子発現などにも変化が見出されています。



以上のデータから、ノコギリヤシ単独投与に比べて、リコピンとセレンの併用は、前立腺の肥大をより効果的に抑制すると考えられます。




なお、この基礎研究では、介入方法・投与方法が経口投与ではなくて、皮下投与になっていることが問題です。




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ノコギリヤシによる細胞増殖抑制作用 [2011年06月13日(月)]
今月の植物療法の専門ジャーナル(電子版)に、ノコギリヤシによる前立腺上皮細胞に対する作用を調べた基礎研究が、スウェーデンのグループ(Karolinska Institutet)から報告されていました。
(Phytother Res. 2011 Jun 8.)



男性では、加齢に伴って前立腺肥大症による排尿障害などの症状が生じます。

良性疾患である前立腺肥大症に対して、サプリメントでは、ノコギリヤシ(学名serenoa repens)が用いられています。


(ノコギリヤシは,多くの臨床試験によって有効性が示されており,安全性の高いハーブです。医薬品と比べても副作用が少なく,広く推奨できるサプリメント成分です。)


また、民間療法では、前立腺炎に対しても用いられています。



さて、今回の研究では、ノコギリヤシ抽出物による前立腺細胞に対する作用に関して、こうアンドロゲン作用以外についての検証が行われました。


解析の結果、ノコギリヤシは、アンドロゲン非依存性前立腺がん細胞培養系(PC3)において、EGFやLPS誘導性前立腺上皮細胞増殖作用を抑制することが見出されました。


有効濃度である50μグラム/mLでは、ノコギリヤシはEGFRにおいてEGFを阻害し、EGF誘導性の細胞増殖抑制作用を示しています。


また、LPS誘導性のモデルでは、ノコギリヤシは、NFκBの抑制作用を介した細胞増殖抑制を示しました。


さらに、MCP-1分泌の抑制、LPS誘導性IL-12の抑制といった作用も見出されました。



以上のデータから、ノコギリヤシ抽出物は、EGFシグナルの抑制を介して前立腺細胞の増殖抑制作用を示すことが示唆されます。



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下部尿路症状による睡眠障害 [2011年04月20日(水)]
東日本大震災により被害を受けられた皆様に,心からお見舞いを申し上げます。

被災地の一日も早い復旧,復興を心よりお祈り申し上げます。


なお,私どもDHCによる支援活動は,こちら
「東日本大震災 被災地への支援活動について」

からご確認いただけます。





今月の泌尿器科学の専門ジャーナル(電子版)に、下部尿路症状と睡眠障害との関連を調べた研究が、米国のグループから報告されていました。
(J Urol. 2011 Apr 15.)



男性では、加齢に伴って前立腺肥大症による排尿障害などの症状が生じます。



良性疾患である前立腺肥大症に対して、サプリメントでは、ノコギリヤシ(学名serenoa repens)が用いられています。


(ノコギリヤシは,多くの臨床試験によって有効性が示されており,安全性の高いハーブです。医薬品と比べても副作用が少なく,広く推奨できるサプリメント成分です。)



さて、今回の研究では, LUTS(排尿困難や夜間頻尿といった下部尿路症状)を有する患者における睡眠障害との関連が検証されています。

(夜間頻尿などの下部尿路症状は、睡眠の質に影響を与えることが推測されます)


対象者は、ノコギリヤシの臨床研究の登録した被験者366名(平均年齢60.9歳)であり、ノコギリヤシ投与前の評価として行われています。



評価指標として、
下部尿路症状に対しては、American Urological Association symptom indexquality of lifeスコアが用いられ、

睡眠については、Jenkins sleep scaleが利用されています。



解析の結果、被験者は、中等度から重症の下部尿路障害を有していました。
(AUA症状スコアポイント 14.58 ± 4.6 )

睡眠障害の程度は、Jenkins sleep scoreで7.3 ± 4.7でした。



下部尿路症状の程度と、睡眠障害との間には有意な相関関係が認められています。


多変量解析では、閉塞性あるいは刺激性症状と、重度の睡眠障害との相関が示されました。



また、残尿量と睡眠障害との有意な相関も見出されています。




以上のデータから、下部尿路症状は、睡眠障害を生じ、生活の質に影響を与えることが示唆されます。






前立腺肥大症自体は良性疾患ですが、中高年の男性では、睡眠を含めたQOLを低下させますので、ノコギリヤシによるリスク低減と症状改善が推奨されます。


(前立腺肥大症に対しては医薬品もありますが、作用メカニズムや副作用、有効性と安全性、費用対効果のバランスなどを考えると、前立腺肥大症にはノコギリヤシのほうが推奨できます。)


(なお、前立腺の病気には、前立腺がんもあります。
前立腺がんに対しては、高齢男性では定期健診による早期発見が重要です。)




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ノコギリヤシによるBPH症状改善作用 [2011年02月15日(火)]
今月の泌尿器科学の専門ジャーナル(電子版)に,ノコギリヤシによるBPH(前立腺肥大症)の症状改善効果を示した臨床研究が,ルーマニアのグループ(Fundeni Clinical Institute)から報告されていました。
(Urol Int. 2011 Feb 8)



ノコギリヤシ(学名serenoa repens)は,加齢に伴って生じる良性疾患の前立腺肥大症に対して有効性・安全性が示されているハーブです。


(ノコギリヤシは,多くの臨床試験によって有効性が示されており,安全性の高いハーブであり,医薬品と比べても副作用が少なく,広く推奨できるサプリメント成分です。)



今回の研究では,BPHによるLUTS(排尿困難や頻尿といった下部尿路症状)を有する患者に対するノコギリヤシ抽出物の効果が検証されています。



具体的には,BPHによって軽症から中等度のLUTS(尿量150 mL以上のときにQmaxが15 mL未満,PSA;4 ng/mL未満)を示す患者120名を対象に,1日あたり320mgのノコギリヤシ抽出物が投与されました。


投与の結果,

IPSS(国際前立腺症状スコア);5.5ポイントの有意な改善,

QOL (QoL; 1.8 ポイント) の有意な改善,

Q(max);5.6 ml/s) の有意な改善,

IIEF(国際勃起機能指数);6.4 ポイントの有意な改善

残尿量の減少(改善)

が認められたということです。



また,24ヶ月間の投与後の時点で,前立腺の平均容積は,36mLであり,投与開始時の39.8mLと比べて低下(改善)が示されています。



以上のデータから,ノコギリヤシの長期投与による前立腺肥大症関連症状の改善効果および勃起障害の改善が示唆されます。




前立腺肥大症(BPH)に対しては,外科的処置や医薬品の投与という選択肢もあります。

しかし,一部の療法では,BPHは改善しても,逆に勃起障害が副作用として生じうることが知られています。

一方,ノコギリヤシは,BPHの改善と勃起障害の改善という働きがあります。

(前立腺肥大症自体は,良性疾患です。)



有効性,安全性,費用対効果の3点を考えるとき,医薬品よりも,ノコギリヤシのほうが,推奨できると考えます。





なお,高齢男性では,(前立腺肥大症←ノコギリヤシという対処とはまったく別の話として),前立腺がんに対する定期健診が必要です。



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ノコギリヤシ+リコピン+セレンの抗炎症作用 [2010年12月01日(水)]
泌尿器科学の専門ジャーナル(電子版)に,ノコギリヤシ/リコピン/セレンによる抗炎症作用を示した基礎研究が,イタリアのグループ(University of Catania)から報告されていました。
(Urology. 2010 Nov 24.)



ノコギリヤシ(学名serenoa repens)は,加齢に伴って生じる良性疾患の前立腺肥大症に対して有効性・安全性が示されているハーブです。


(ノコギリヤシは,多くの臨床試験によって有効性が示されており,安全性の高いハーブであり,医薬品と比べても副作用が少なく,広く推奨できるサプリメント成分です。)



リコピンは,カロテノイド系ファイトケミカルの1種で,トマトなどに含まれる赤色の色素です。抗酸化作用や抗がん作用があり,疫学研究では,前立腺がんの予防効果が示されています。



セレンは,抗酸化作用を有する必須ミネラルの1種です。




さて,今回の研究では,ノコギリヤシ,リコピン,セレンの抗炎症作用が検証されています。


具体的には,ラット前立腺組織およびLPS刺激時の腹腔内マクロファージを用いて,ノコギリヤシ,リコピン,セレン,および複合剤による抗炎症作用が測定されました。


(慢性炎症は,前立腺肥大症の進展に関与するため,抗炎症作用を有する機能性成分が予防や改善に有用と考えられています。)



LPS(1 μg/mL)刺激によって炎症誘導を行ったラット腹腔内マクロファージに対して,リコピン(2 μg/mL),セレン(0.03 μg/mL),ノコギリヤシ(10 μg/mL)のそれぞれの単独投与,あるいは3種類の併用投与を行ったところ,炎症抑制作用が示されました。


このときの抗炎症作用(シクロオキシゲナーゼ-2発現抑制,5-リポキシゲナーゼ発現抑制,iNOS発現抑制)は,単独投与よりも併用投与時に大きな効果が見出されたということです。



また,3種類の併用投与時には,NF-κB系シグナルの抑制,TNF-α発現の抑制,MDA増加の抑制といった作用も示されています。



以上のデータから,今回のin vivo実験系では,ノコギリヤシ,リコピン,セレンによる抗炎症作用を介した前立腺肥大症予防効果が示唆されます。





ノコギリヤシについては,このブログでもいくつかの臨床研究データを紹介していますし,前立腺肥大症に対する有効性と安全性が確立したハーブサプリメントです。



リコピンでは,前立腺がんや肺がん,大腸がんのリスク低下作用が示されている食品成分です。



セレンは,前立腺がんリスク低下作用などが示されている必須ミネラルの1種です。




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ノコギリヤシの前立腺肥大症改善作用 [2010年10月21日(木)]
腎臓病学の専門ジャーナル(電子版)に,ノコギリヤシによる前立腺肥大症改善作用に関する総説が,イタリアのグループ(Urologic Clinic of the University of Milan)から掲載されていました。
(Minerva Urol Nefrol. 2010 Dec;62(4):335-40.)



前立腺肥大症は,加齢に伴って高率に認められる疾患です。


がんとは違って良性ですが,排尿機能に障害を生じるため,QOLを低下させます。


前立腺肥大症に対しては,医薬品以外では,ノコギリヤシ(学名serenoa repens)というハーブサプリメントが広く利用されています。

(ノコギリヤシは,欧州の一部では医薬品です。)



これまでに多くの臨床試験において,ノコギリヤシ投与による前立腺肥大症に伴う症状改善作用が示されています。


今回の論文では,イタリアで行われた2報の臨床研究についてレビューが行われました。



これらの試験では,合計70名の前立腺肥大症患者が対象となっています。


1報では,1日あたり320mgのノコギリヤシエキスが30日間投与され,

もう1報では,1日あたり320mgのノコギリヤシ,あるいは100mgのピジウム(学名 Pygeum africanum)が30日間投与されています。


投与の結果,いずれの試験でも,ノコギリヤシによって排尿困難や頻尿といった症状の有意な改善(投与前に比べて50%程度の改善),排尿率の改善が認められたということです。




これらのデータから,ノコギリヤシエキスは前立腺肥大症に伴う症状改善作用があると考えられます。




ノコギリヤシは,多くの臨床試験によって有効性が示されており,安全性の高いハーブであり,医薬品と比べても副作用が少なく,広く推奨できるサプリメント成分です。





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前立腺切除術前のノコギリヤシ投与の効果 [2010年07月25日(日)]
今月の泌尿器科学の専門ジャーナル(電子版)に,前立腺切除術時におけるノコギリヤシの効果を調べた臨床研究が,イタリアのグループから報告されていました。
(Minerva Urol Nefrol. 2010 Jul 16.)



前立腺肥大症(BPH)は,加齢とともに生じる疾患です。


前立腺がんとは異なり,良性ですが,排尿障害などQOLに影響します。


前立腺肥大症(BPH)に対しては,医薬品の他,ハーブサプリメントではノコギリヤシSerenoa repens)が利用されます。



今回の研究では,前立腺肥大症(BPH)に対する外科的処置の前に,ノコギリヤシを投与することで,手術に伴う出血などの副作用に影響があるかどうか,検討されています。


具体的には,経尿道的前立腺切除術(TURP)あるいは開腹前立腺切除術(OP)を前提にしたBPHの患者144名を対象に,

(1)手術の前2ヶ月間にわたり,320mg/日の用量でノコギリヤシを投与した群

(2)ノコギリヤシ非投与群

の2群に無作為に分けて比較されました。


144名中24名(ノコギリヤシ投与群10名,非投与群14名)が試験を脱落しています。


解析の結果,

まず,非投与群に比べて,ノコギリヤシ投与群では,
手術時間が有意に短くなっていました(投与群59.8分 vs. 非投与群77.6 分, P<0.001)。



また,ノコギリヤシ投与群では,手術中の合併症は見出されていません(投与群0% vs. 非投与群15%; P=0.001)。


さらに,輸血の必要性も顕著に少なくなっています。(投与群0% vs. 非投与群38.33%; P<0.001)


その他,術後経過も,非投与群に比べて,ノコギリヤシ投与群のほうが好ましい結果でした。


入院日数も,有意に短くなっています。(投与群5.92 日 vs. 非投与群7.92日; P<0.001)




以上のデータから,前立腺切除術施行前のノコギリヤシ投与は,術中術後の経過を良好にする働きがあることが示唆されます。



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ノコギリヤシ複合サプリによる慢性前立腺炎改善効果 [2010年04月06日(火)]
泌尿器科学の専門ジャーナル(電子版)に,ノコギリヤシを含む複合サプリメントによる慢性前立腺炎改善効果を示した臨床研究が,イタリアのグループ(University of Messina)から報告されていました。
(Urol Int. 2010 Mar 24.)



慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(chronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome; CP/CPPS)は,疼痛,排尿不全,性機能不全などの愁訴を伴う難治性の疾患です。


(CP/CPPSは,前立腺炎のNIH分類でカテゴリーVになります。)



今回の研究では,慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)の症状に対して,ノコギリヤシを含む複合サプリメントの効果が検証されています。


具体的には,慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)(NIH分類カテゴリーVa)患者102名を対象に,

--ノコギリヤシ(Serenoa repens)+セレン+リコピンの複合サプリメント

--ノコギリヤシ単独

のいずれかが8週間投与され,

関連指標として,NIH慢性前立腺炎症状指数(NIH-CPSI,National Institutes of Health-Chronic Prostatitis Symptom Index),国際前立腺症状スコア(IPSS),PSA値などが測定されました。


(主エンドポイントはNIH-CPSI,副エンドポイントはMPFR,IPSS,PSA,白血球数。)

(試験の脱落者はなし。)



投与の結果,両群ともNIH-CPSIの有意な低下(改善)が認められました(p < 0.001)。



このとき,ノコギリヤシ複合サプリメントのほうが,ノコギリヤシ単独サプリメントよりも顕著な改善が示されています。

(複合サプリメント:27.45から13.27へ低下。マイナス51.64%。)

(単独:27.76から20.62 へ低下。マイナス26.06%。)



また,IPSSも,両群とも有意に改善しています(p < 0.001)。


なお,PSA値と白血球数は,複合サプリメント投与群において有意に減少(改善) (p < 0.007)し,MPFRも同様に改善(p < 0.005)が示されています。




以上のデータから,慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)の症状に対して,ノコギリヤシ,セレン,リコピンの複合サプリメントによる改善効果が示唆されます。







ノコギリヤシは,前立腺肥大症の症状改善に広く用いられるハーブで,多くの臨床試験で有効性が示されています。



リコピン(リコペン)は,トマトなどに含まれるカロテノイド系ファイトケミカルで,前立腺がんや肺がんのリスク低下作用が知られています。




セレンは,抗酸化作用を有する必須ミネラルの1種で,DHC製品ではマルチミネラルに含まれています。





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ノコギリヤシ・カボチャ種子による前立腺肥大症 [2010年02月03日(水)]
栄養学の専門ジャーナルに,ノコギリヤシおよびカボチャ種子による前立腺肥大症の症状改善作用を示した臨床研究が,韓国のグループから報告されていました。
(Nutr Res Pract. 2009 Winter;3(4):323-7.)



前立腺肥大症は,加齢に伴って多くの男性に生じる疾患です。


統合医療によるアプローチでは,医薬品よりも副作用が少ない生薬を含むサプリメントが好んで用いられます。


前立腺肥大症に対しては,ノコギリヤシやカボチャ種子に由来する成分の有効性が示されており,サプリメント/健康食品(ノコギリ椰子カボチャ種子油)として広く利用されています。




今回の研究では,前立腺肥大症の患者47名(平均年齢53.3歳,IPSSが8以上)を対象に,ノコギリヤシあるいはカボチャ種子の効果が検証されました。

(ランダム化二重盲検偽薬対照試験として実施。)



被験者は,次の各群に分けられ,12ヶ月間の投与試験が行われています。

グループA 偽薬 320mg/日

グループB カボチャ種子油 320mg/日

グループC ノコギリヤシ 320mg/日

グループD カボチャ種子油320mg/日+ノコギリヤシ320mg/日



アウトカム指標として,IPSS,QOL,前立腺容積,最大尿流率などが測定されました。



その結果,投与開始3ヵ月までに,実薬群(グループB,C,D)では,IPSSの低下(改善)が認められています。



QOL(生活の質)スコアは,投与前に比べて,グループDでは6ヶ月後,BとCでは3ヶ月後に改善が示されました。



血中PSA(前立腺特異抗原)は,3ヶ月後のグループDにおいて低下しました。


一方,前立腺容積は,すべての実薬群において有意な差は認められていません。


最大尿流率は,グループBおよびCにて徐々に改善し,グループBは6ヶ月後,グループCは12ヶ月後にそれぞれ有意な改善が示されています。



以上のデータから,ノコギリヤシおよびカボチャ種子油は,前立腺肥大症に対する補完療法として一定の効果が期待でき,認容性も高いと考えられます。




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前立腺切除術の出血にノコギリヤシは影響しない [2009年11月27日(金)]
泌尿器科学の専門ジャーナルに,前立腺切除術時における前立腺肥大症治療薬およびノコギリヤシ摂取の影響について検討した臨床研究が報告されていました。
(Scand J Urol Nephrol. 2009;43(5):377-382.)



前立腺肥大症に対しては,医薬品ではテストステロン5α還元酵素阻害薬(Dutasteride;デュタステライド),ハーブサプリメントではノコギリヤシ(Serenoa repens)が利用されます。



今回の研究では,前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺切除術(TURP)の前に,デュタステライドあるいはノコギリヤシを短期間摂取していた場合において,手術中の出血に影響があるかどうか,検討されています。



具体的には,TURP施行予定の患者75名を対象に,

1.対照群(21名)

2.デュタステライド(5 mg/day)投与群(27名)

3.ノコギリヤシ160 mg/day投与群(27名)

の3群に分けて,術前に5週間の投与が行われました。


TURP術中の出血に関連する各種指標が測定されています。


その結果,術中の全失血量,出血時間,切除組織中の出血重量,血中ヘモグロビン値など出血傾向に関連する指標(Total blood loss, total blood loss/time, total blood loss/weight of resected tissue and total blood loss/weight/time, microvessel densityなど)について,各群間で有意な差は認められませんでした(p > 0.05)。




以上のデータから,前立腺肥大症に対する前立腺切除術前のデュタステライドあるいはノコギリヤシ摂取は,(出血に関連して)外科的な処置に影響を与えないと考えられます。



ノコギリヤシは,医薬品との相互作用も知られておらず,認容性の高いハーブサプリメントです。


(前立腺肥大症の症状改善効果については,多くのランダム化比較試験で報告されています。)



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ノコギリヤシでは医薬品との相互作用報告はなし [2009年09月03日(木)]
医薬品学の専門ジャーナルに,ハーブサプリメントと医薬品の相互作用に関する最新のシステマティックレビューが,英国のErnstとイタリアのIzzoのグループから発表されていました。
(Drugs. 2009;69(13):1777-98)



ハーブ/生薬の成分を含むサプリメントが広く利用されるようになってから,医薬品との併用による相互作用が問題になることがあります。



たとえば,相互作用による有害事象として,ハーブと併用した結果,医薬品の主作用が減弱する,あるいは逆に増強する,といったケースが想定されます。


そこで,ハーブサプリメントの適正使用では,医薬品との相互作用についての情報が大切になります。


さて,今回のレビューでは,最も広く利用されているハーブ(イチョウ葉,セントジョーンズワート,高麗人参,ニンニク,エキナセア,ノコギリヤシ,カバ)について,西洋薬との相互作用の可能性が検討されました。



具体的には,MEDLINE, Cochrane Library, EMBASEの各データベースを用いて,128報のケースレポート/症例シリーズ,80報の臨床試験が検出されています。


解析の結果,まず,SJWについては肝薬剤代謝酵素チトクロームP450やP糖タンパク質の活性への亢進/阻害を介した相互作用が見いだされました。

(該当する薬剤は非常に多数です。ただし,日本では医薬品の添付文書に記載されていますし,セントジョーンズワート製品のパッケージにも注意書きがあります。)


次に,イチョウ葉については,omeprazole, ritonavir,tolbutamide値の低下,antiepileptics, aspirin (acetylsalicylic acid), diuretics, ibuprofen, risperidone, rofecoxib, trazodone,warfarinとの相互作用の報告が知られています。


その他,高麗人参(Panax ginseng)はphenelzine やwarfarinと,カバはchlorzoxazone,levodopa,paroxetineと,ニンニク(Allium sativum)はchlorpropamide, fluindione, ritonavir,warfarin,chlorzoxazoneとの相互作用に注意が必要です。


エキナセアは,caffeineやmidazolamのクリアランスに影響を与える可能性が示唆されています。


一方,ノコギリヤシについては,医薬品との相互作用の報告は見出されておらず,高い安全性が示唆されます。




以上のデータから,ハーブサプリメントの一部には医薬品との相互作用に中が必要な成分があると考えられます。



なお,相互作用というとネガティブな印象ですが,医薬品とハーブサプリメントを併用することが推奨される場合もあります。


たとえば,脂質異常症治療薬のスタチン剤投与中には内在性コエンザイムQ10値が低下するので,コエンザイムQ10をサプリメントで補います。


また,アセトアミノフェンのような肝毒性を有する医薬品の摂取時には,マリアアザミのような肝保護作用をもつハーブの併用が可能です。



その他,化学療法による副作用の軽減に,メシマコブやマイタケ,アガリクスといったβグルカンを含むキノコ系サプリメントの併用も行われます。
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男性型脱毛症とノコギリヤシ [2009年08月14日(金)]
男性型脱毛症(Androgenetic alopecia,AGA)は,成人男性にみられる禿頭(とくとう)の1種です。

思春期以降の時期に,額の生え際や頭頂部の髪が薄くなります。

一般に,遺伝素因や男性ホルモンの影響が原因と考えられています。


AGAに対して,ハーブサプリメントの成分ではノコギリヤシの働きが注目されています。


これは,AGAの要因のひとつとして,5−α還元酵素によるテストステロンからDHT(dihydrotestosterone)への代謝が関係すると考えられており,ノコギリヤシはこの酵素活性を抑制する作用を有するからです。


なお,ノコギリヤシは,5−α還元酵素阻害作用を作用機序として,前立腺肥大症(BPH)に対して用いられます。


AGAに対しては,BPH治療薬の効果が示唆されていますので,ノコギリヤシにも同様の効果が期待されているわけです。



AGAに対するノコギリヤシの効果については,ランダム化偽薬対照二重盲検臨床試験が報告されています。
(J Altern Complement Med. 2002;8:143-52.)

軽症から中等度のAGAを示す健康な男性(23歳から64歳)を対象に,ノコギリヤシ抽出物(liposterolic extractとβシトステロール含有)を投与した結果,10名中6名の被験者におけるAGA改善効果が認められたということです。



その他,症例報告では,AGAの女性(24歳)におけるノコギリヤシの外用も知られています。
(Australas J Dermatol. 2002 Nov;43(4):311-2.)


今後,臨床的意義の検討が期待されます。


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術前のノコギリヤシ投与は出血量に影響しない [2009年08月13日(木)]
今月の泌尿器科学の専門ジャーナルに,前立腺切除術前におけるノコギリヤシあるいはdutasterideの投与による手術中の出血量などへの影響を検討したヒト臨床研究が報告されていました。
(Scand J Urol Nephrol. 2009 Aug 9:1-6.)



ノコギリヤシは,北米原産の植物で,5α還元酵素阻害作用を有し,前立腺肥大症の予防や症状改善に対して広く利用されています。

これまでに,多くの臨床研究で有効性と安全性が示されています。


dutasteride(デュタステリド)は,前立腺肥大症治療薬(医療用医薬品)であり,5α還元酵素阻害作用を介して効果を発揮します。

(つまり,両者の作用機序は類似しています。)



さて,今回の研究では,経尿道的前立腺切除術(TURP)の施術前に,ノコギリヤシあるはデュタステリドを投与し,手術中の血液喪失量および前立腺間質細胞における微小血管密度への影響が検討されています。


(微小血管密度=microvessel density: MVDとは,血管新生マーカーの1つです。)



具体的には,TURPを予定されている患者75名を対象に,

(1)対照群21名

(2)デュタステリド5mg/日投与群27名

(3)ノコギリヤシ160mg/日投与群27名

の3群に分け,手術前5週間の介入試験が行われました。



全血液喪失量,血液喪失時間,切除組織あたりの血液喪失量/重量,血中ヘモグロビン値の変化などがすべての患者において測定され,前立腺組織におけるMVDが検証された結果,実薬群と対照群との間に有意な差は認められなかったということです。


以上のデータから,前立腺肥大症に対するノコギリヤシの摂取が,TURPの手術に影響を与える(手術中の出血量を増やす)といった可能性は低いと考えられます。




一般に,ハーブサプリメントの中には試験管内での基礎実験において,血小板作用抑制や抗凝固作用が示唆されているものがあり,手術の前(2週間くらい前)には,念のためにハーブサプリメントの摂取は控えましょう,ということがいわれます。


ただし,これらは基礎研究に基づく潜在的なリスクを議論しているのであって,実際の臨床試験で出血傾向が示されたわけではなく,手術時のリスクが示されたわけでもありません。


安全性が第一なので,データが不明な場合は,念のために手術の前には摂取を控えましょう,という指針で間違いはないと思います。


一方で,今回のノコギリヤシについてのデータなど,エビデンスが収集・構築されることによって,より臨床現場に即した現実的な指針が出せるようになると考えられます。


(他の例では,イチョウ葉エキスがあります。基礎研究や一部の有害事象として出血傾向のリスクが危惧されていましたが,最近の臨床試験による検討では,イチョウ葉エキスの摂取によって出血のリスクがあがるといったことは否定されています。)




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ノコギリヤシの安全性に関する系統的レビュー [2009年08月02日(日)]
今月の薬理学の専門ジャーナルに,ノコギリヤシの有害事象に関する系統的レビューが,英国のグループから報告されていました。
(Drug Saf. 2009;32(8):637-47.)



ノコギリヤシ(英名ソー・パルメットsaw palmetto,学名Serenoa repens)は,前立腺肥大症の予防や症状改善に広く利用されているハーブです。




これまでに多くの臨床試験によって,有効性が示されており,高い許容性も示唆されています。



さて,今回の論文では,許容性/安全性に関する系統的レビューが行われました。



具体的には,2008年2月までの時点で,5種類のデータベース,ハーバリストの4組織などから情報が収集されています。


有害事象は,ノコギリヤシを単独投与したヒト臨床データのみを対象に検討が行われました。

(基礎研究データに基づいて,理論上の有害事象の可能性が議論され,的確ではない情報が独り歩きすることがあることから,この点は評価できると思います。)


40報の論文(26報のランダム化比較試験,4報の非ランダム化対照試験,6報の非対照試験,4報の症例報告)が対象となり,検証されました。


その結果,ノコギリヤシの摂取に伴う有害事象は,軽度であり,偽薬摂取と同程度であることが見出されたということです。



最もよく認められた有害事象は,腹痛,下痢,悪心,疲労感,頭痛などです。

(なお,有害事象ですので,因果関係は問わないあらゆる症状が含まれます。)


重症な症状を報告したケースレポートでは,因果関係は否定的でした。


また,医薬品との相互作用に基づく有害事象は報告されていません。



以上の結果から,現時点で利用可能なデータに基づくと,ほとんどの利用者にとってノコギリヤシの許容性は高く(=安全性は高く),重大な有害事象・副作用は認められていないといえるでしょう。



(因果関係を問わない)有害事象の大多数は,軽症であり,可逆的であることが示されています。



今回の系統的レビューからも,一般に,ノコギリヤシの安全性は非常に高いと考えられます。


ただし,個人の体質によっては,アレルギーや過敏症による症状を生じえますので,体調不良を感じたら中止して様子をみましょう。


また,ノコギリヤシの適正使用のためには,今後も有害事象に関する情報収集が必要です。




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posted at 23:54 | この記事のURL
前立腺炎に対する補完療法としてのノコギリヤシ [2009年06月12日(金)]
今月の感染症治療の専門ジャーナルに,ノコギリヤシ等を含むハーブ複合サプリメントによる慢性細菌性前立腺炎への補完療法としての効果を示した臨床研究が,イタリアのグループから報告されていました。
(Int J Antimicrob Agents. 2009 Jun;33(6):549-53.)



ノコギリヤシは,前立腺肥大症に伴う症状の改善に対して用いられるハーブです。



今回の研究では,前立腺炎で抗生物質(プルリフロキサシン)を服用中の患者を対象に,ノコギリヤシ/セイヨウイラクサ,ケルセチン/クルクミンの複合サプリメントが投与されています。



具体的には,慢性細菌性前立腺炎患者284名からクラス2の前立腺炎患者143名を対象に,まず,被験者全員に対して1日あたり600mgのプルリフロキサシン (prulifloxacin;フルオロキノロン系抗菌薬)が14日間投与されました。


次に被験者を2群に分け,抗菌薬に前述のサプリメント複合剤を併用する群(n=106)と,抗菌薬単独投与群(n=37)とで,6ヶ月間のフォローアップが行われています。



1ヵ月後の時点で,慢性前立腺炎の症状が改善された(症状が消失した)被験者の割合は,抗菌薬とサプリメントの併用群では89.6%であったのに対して,抗菌薬単独投与群では27%に過ぎませんでした。(P < 0.0001)



6ヵ月後の時点では,併用群では再発率がゼロであったのに対して,単独投与群では2名の患者が再発しています。


QOLに関連した指標においても,抗菌剤単独投与群に比べて,ハーブサプリメント併用群では有意な改善が認められました。




以上のデータから,ノコギリヤシ/セイヨウイラクサ,ケルセチン/クルクミンの複合サプリメントは,慢性細菌性前立腺炎に対する抗菌剤治療の補完療法として有用であることが示唆されます。
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ノコギリヤシと前立腺肥大:レビュー [2009年04月24日(金)]
今月のレビュー誌に,ノコギリヤシによる前立腺肥大への作用を検討したデータが,米国ミネアポリスのグループから発表されていました。
(Cochrane Database Syst Rev. 2009 Apr 15;(2):CD001423)



ノコギリヤシ(学名Serenoa repens)は,前立腺肥大症の症状を改善するハーブとして利用されています。



今回のコクランレビューでは,4週間以上のランダム化比較試験(RCT)が対象とされました。


前回のレビューと比べて,新たに9報の試験,2,053名のデータが追加されています。



30報のRCT(試験期間は4週間から60週間),5,222名の被験者が検索され,そのうち,26報が二重盲検試験であり,18報が適切な試験とされました。


メタ分析の結果,
IPSSスコアでは有意差は認められませんでした。


一方,夜間頻尿については,偽薬群に比べて,ノコギリヤシエキス投与群において有意な改善が示されています(WMD -0.78 nocturnal visits, 95% CI -1.34 to -0.22, P < 0.05; 9 trials)。


ただし,finasteride(フィナステリド)やtamsulosin(タムスロシン)といった医薬品との比較では優位性は認められていません。



以上,ノコギリヤシエキスは夜間頻尿に対する効果が示唆されますが,IPSSといった標準的なアウトカムでは明確な効果は見出されていません。


今後,サブグループ解析などによって,ノコギリヤシエキスの適正使用に関する情報の集積が期待されます。
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ノコギリヤシの作用メカニズム [2009年04月14日(火)]
今月の薬学の専門ジャーナルに,ノコギリヤシ抽出物によるα1アドレナリン受容体結合活性および5α還元酵素阻害活性を示した基礎研究が,静岡大学のグループから発表されていました。
(Biol Pharm Bull. 2009 Apr;32(4):646-50.)



ノコギリヤシエキス(抽出物)は,良性疾患である前立腺肥大症の症状改善や予防のために広く利用されているハーブサプリメントです。




作用メカニズムとして,前立腺α1アドレナリン受容体や膀胱ムスカリン受容体,1,4-DHP(1,4-ジヒドロピリジン系 Ca 拮抗薬)受容体への結合が報告されてきました。


(前立腺および尿道のα1受容体を遮断することで,尿道内圧曲線の前立腺部圧を低下させ,BPHに伴う排尿障害を改善すると考えられます。)



ノコギリヤシエキスの主な成分として,ラウリン酸,オレイン酸,パルミチン酸,リノール酸といった脂質が知られています。



今回の研究では,これらの脂質による各受容体への働きが検討されました。


具体的には,ラット脳を用いて脂質の受容体結合能/阻害能(IC50)が測定された結果,ラウリン酸とオレイン酸のα1アドレナリン受容体,ムスカリン受容体,1,4-DHP受容体に対する非競合的な結合作用が見出されています。



また,LC/MSを用いた5α還元酵素阻害活性を検討したところ,ノコギリヤシエキスによる阻害活性が認められました。

(ラット肝臓においてIC50は101マイクログラム/ml。)


この作用は,各脂質(パルミチン酸を除く)でも示されています。




以上のデータから,ノコギリヤシエキスの効果は,主要な脂質であるラウリン酸,オレイン酸,ミリスチン酸,リノール酸によるα1アドレナリン/ムスカリン/1,4-DHPの各受容体への結合および5α還元酵素活性阻害を介して発揮されると考えられます。
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ノコギリヤシによるアポトーシス [2009年01月28日(水)]
ノコギリヤシエキスによる抗がん作用を示した基礎研究が、イタリアのグループから報告されていました。
(BJU Int. 2009 Jan 12. PMID: 19154468 )


ノコギリヤシ(学名Serenoa repens )は、前立腺肥大症の症状に対して用いられるハーブで、複数の臨床試験による改善作用が報告されています。


今回の研究では、ヒト前立腺がん細胞系(PC3)におけるノコギリヤシエキスの効果が検証されました。


細胞内およびミトコンドリア内での働きが解析された結果、ノコギリヤシ投与によって、空胞形成と凝集、アポトーシスが生じることが確認されています。


その他、ミトコンドリア内のPTP活性化によるメカニズムが示唆されました。



今後の研究成果が期待される分野です。
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