緑茶がいろいろな病気の予防に効果的という調査が知られています。
緑茶には、フラボノイドと総称される植物由来の抗酸化物質が含まれており、その抗酸化作用によって病気の予防効果が得られると考えられています。
先日、エール大学の研究者が、
「緑茶・アジアン・パラドックス(Asian Paradox)・心臓病」
という論文を発表しました。
アジアン・パラドックス[アジア諸国では喫煙者が多いにもかかわらず、アメリカと比べると心臓病(冠状動脈疾患)が少ないというパラドックス]の理由は、緑茶のフラボノイド類(カテキンなど)による効果ではないか、という内容の総説です(
PMID: 166480)。
かつて、フレンチ・パラドックスが話題になったことがあります。「フランス人は、他の欧米諸国に比べて喫煙者が多く脂肪の摂取も多いのに心臓病が少ない、これは赤ワインのポリフェノールが予防効果をもっているからだ。」という仮説です。
ただし、フレンチ・パラドックスというのは、赤ワインだけではなく、地中海式料理、オリーブオイルをよく利用すること、野菜の摂取が多いこと、といったさまざまな因子がシナジー効果をもたらした結果と思われます。
同様に、アジアン・パラドックスも、緑茶だけではなく、食生活や運動習慣といったライフスタイルの違い、人種間での遺伝素因の違いなど、いろいろな因子があわさった結果と考えるのが自然でしょう。
心臓病の予防には、緑茶ではなく、喫煙(受動的喫煙・間接喫煙もふくめた喫煙)をやめることが大切です。私は、大学卒業後に循環器内科で研修を受けた際、喫煙が原因で狭心症や心筋梗塞になった方をたくさんみました。ですから、「緑茶・アジアン・パラドックス(Asian Paradox)・心臓病」といわれても、あまり実感はありません。
(なお、食生活を補完するという位置づけで、ファイトケミカルを含むサプリメントは、各社から製品化されています。たとえば、DHCでは、「赤ワインエキス」、「果実ミックス」、「カテキン」、「パーフェクト野菜」、「ポリフェノール」といったサプリメントがあります。あと、「オリーブオイル」に「粉末茶」といった食品も。)