先日のブログで述べたように、英国では、チャールズ皇太子が、伝統医療・代替医療の研究促進と利用を支持しています。
一方、先月(5月23日)、英国を代表する医師のグループが、代替医療に反対する表明を出しました。この声明文は、英国のThe Times等に全文が掲載され、話題になりました。
この医師グループからの声明は、University College LondonのBaum教授を代表者とし、英国医師会の重鎮10名以上の連名で発表されました。連名者の中には、代替医療のレビュー論文を多数発表しているErnst教授も含まれています。
この声明では、英国の国民医療保険であるNHSに対して、科学的根拠がない代替医療をカバーすべきでないという主張が行われました。具体的にはホメオパシーがあげられています。
一方、鍼治療によるペインコントロールといった根拠のある治療法については、賛成しているようです。
現在、ホメオパシーなど、いくつかの代替医療では、科学的根拠の検討が必要であるのは確かです。ただし、「現時点で十分なエビデンスがないということ」と「効かない」ということは別の問題です。
マスコミでは、エビデンスがない=効果がない、と報道されるため、混乱をきたすことがあります。特に、ホメオパシーのように、治療効果が施術者の技量による部分が大きいと、RCTでは効果がみられないという結論になりがちです。
なお、この声明は、「alternative medicine」に対して言及されています。最近の傾向として、「alternative medicine」と「complementary and integrative medicine」とを明確に区別するようになっています。これについては、別の機会に紹介したいと思います。 |