サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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カフェイン抜きのコーヒーが2型糖尿病を防ぐ!? [2006年06月29日(木)]
6月13日のブログ「コーヒーが肝硬変を予防する!?」では、コーヒーを多く飲む人では肝硬変の発症率が低いというデータを紹介しました。

今日は、「カフェイン抜きのコーヒーと2型糖尿病」の関係についてです。コーヒーを多く飲む人では2型糖尿病の発症率が低いというデータが、アメリカの医学専門誌「内科学アーカイヴス」(06年6月26日号)に掲載されていました(6/13のときと同じジャーナルですが、新しい号になります)。

この研究は、28,812 名の閉経後の女性を対象にした「Iowa Women's Health Study (1986-1997)」という観察研究です。対象者を11年間フォローアップし、1日あたりのコーヒーの摂取量と、2型糖尿病との発症の関連が解析されました。
観察期間中、1,418名が糖尿病を発症しています。
分析の結果、コーヒーを飲まない女性に比べて、1日6カップ以上のコーヒーを飲む女性では、糖尿病の発症率が22%低かったということです。この相関関係は、レギュラーコーヒーよりも、カフェイン抜きのコーヒーにおいて有意に顕著であったとされています。

論文は、閉経後の女性では、「コーヒーの摂取量、特にカフェイン抜きのコーヒーの摂取量が多いと、2型糖尿病の発症が少ない」という相関が認められた、という結論になっています(Pereiraら)。

なお、このデータは観察研究であり、参加者の自己申告に基づいているという限界があります。

では、どの成分が、糖尿病を防ぐ効果があったのでしょうか?

この研究によると、マグネシウムやフィチン酸では、この相関は説明できないということです。また、(他の食品由来も含めた)カフェインの摂取量、抗酸化作用のあるポリフェノールの摂取量も関係ないということです。

このような観察研究では、食習慣と病気発症との相関関係が認められても、メカニズムを明らかにすることは容易ではなさそうです。
この研究では、ポリフェノールやカフェイン、マグネシウムといったいろいろな食事の因子が少しずつ関与することで、糖尿病のリスクを抑えたのかもしれません。
あるいは、食事由来の成分とは因果関係はなく、カフェイン抜きのコーヒーを選ぶ人に共通する何からのライフスタイルが、予防効果を示したのかもしれません(あくまで、この研究の対象となった、米国の一地域での話しですが)。

これまでの疫学研究では、コーヒーの摂取量が多いと、肝臓がんや心臓病といった病気の発症リスクが少ないというデータが示唆されています。ただし、それぞれの疾患との「因果関係」の解明や、作用メカニズムの解析にはさらに研究が必要と考えられます。
posted at 22:07 | この記事のURL
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