炭水化物制限食が2型糖尿病患者の血糖コントロールに有効であるというデータが、スウェーデンの研究チームから報告されました(
PMID: 16774674)。
一般的な食事ガイドラインでは、摂取総エネルギーに占める炭水化物由来エネルギーの割合は55〜60%が適切とされています。
一方、2型糖尿病を合併した肥満患者では、炭水化物制限食によって高脂血症や糖尿病が改善するというデータが報告されてきました。
この研究チームは、2型糖尿病患者を対象に、低炭水化物食(炭水化物由来エネルギーを総カロリーの20%に制限した食事)を6ヶ月間行った試験をすでに報告しています。今回のデータは、さらに22ヵ月後の経過報告です。
前回報告された臨床試験では、対象となった2型糖尿病患者16名の開始時の体重が、平均100.6kg(!)、低炭水化物食実施6ヵ月後の体重が89.2kgとなっており、低炭水化物食による改善が示されました。
なお、食事内容は、エネルギー比で炭水化物20%、タンパク質30%、脂質50%です。
今回の研究は、臨床試験が終わってから22ヶ月経過した時点で、患者さんがどの程度、低炭水化物食を続けていたか、といった視点で解析されています。
その結果、平均体重は92.0kgと少し増加していました。ただし、16名のうち7名では、6ヶ月の時点と同じ体重か、もしくは体重が減少していたということです。また、血糖コントロールの指標であるHbA1cは、良好に維持されていたと報告されています。
ここ2〜3年ほど、欧米での臨床試験では、低炭水化物による減量効果や生活習慣病改善効果を示すデータが散見されるようになりました。肥満や糖尿病、高脂血症(特に高中性脂肪血症)の人では、炭水化物(とりわけ、ご飯やパン、麺類などの単純炭水化物)を制限することで改善する可能性もあります。
ただし、すべての人にあてはまるダイエット法というのは存在しません。また、炭水化物の制限だけでなく、脂質やタンパク質の「種類」や「質」についても注意する必要があるでしょう。
低炭水化物ダイエットのメリット・デメリットについては、拙著『サプリメント事典』(平凡社)の「巻頭特集」などを参照していただけると幸甚です(なお、この本はDHCの「サプリでおたのしみポイントプレゼント」の対象商品です)。