新しい抗肥満薬
AcompliaがEUで承認されました。
これは、欧州の大手製薬メーカーである
サノフィ‐アベンティスSanofi-Aventisが開発したcanabinoid-1受容体遮断剤という種類の薬で、一般名をrimonabantといいます。
Sanofi-Aventis 社が6月21日に発表した内容によると、EUの25諸国から承認された条件は、BMIが30以上の肥満者、あるいはBMIが27以上で2型糖尿病あるいは高脂血症を合併する肥満者に対しての投与です。
食事療法と運動療法に加えて、1日あたり20mgの
Acomplia(rimonabant) を投与となっています。
Acomplia(rimonabant)の抗肥満作用については、例えば、今年
(2006年)2月15日号のJAMA(米国医師会ジャーナル)に報告された臨床試験(ランダム化比較試験)があります。
Acomplia(rimonabant)は、今年の7月に英国で発売される予定です。その後、今年中に、デンマーク、アイルランド、ドイツ、フィンランド、ノルウェイ等での発売が予定されています。さらに、Sanofi-Aventis社によると、米国では、今年中の承認を目指しているとのこと。
ただし、日本人では、体質やライフスタイルが欧米人とは大きく異なります。欧米で承認された抗肥満薬が、日本人の生活習慣や遺伝素因に適しているかどうか、わかりません。
日本人の場合、rimonabantの適応になる人は多くないと考えられます。
(もちろん、一部の病的な肥満では、医師の監視下でrimonabant投与を試みることも想定されます。)
欧米で承認された医薬品を、個人輸入などのルートで販売するケースがありますが、副作用のリスクもあります。今回の抗肥満薬も、いくつかの副作用が知られています。
一般論として、専門医が特別な理由で、本邦では未承認の医薬品を利用することはありえます。しかし、肥満対策として、医薬品である抗肥満薬投与の対象になる日本人は多くはありません。
肥満やメタボリック・シンドロームの対策には、まず、ライフスタイルの適正化が第一選択といえるでしょう。
なお、肥満における遺伝子とライフスタイルの関係については、拙著『ダイエットを医学する』(中公新書)などを参照していただけると幸甚です(
アマゾン、
紀伊國屋書店、
ジュンク堂書店、
bk1)。