今月の小児科学の専門ジャーナルに,小児におけるCAM(補完代替医療)の利用に関連した有害事象についての調査研究が,カナダのグループ(University of Alberta)から報告されていました。
(
Paediatr Child Health. 2009 Jul;14(6):385-7.)
CAM(補完代替医療)は,小児の間でも広く利用されていることが知られていますが,有害事象の発生頻度に関する研究はまだ十分ではありません。
そこで,今回の研究では,小児のCAM利用に関連した有害事象が調査されています。
具体的には,2006年1月にカナダの小児科医調査プログラムを介して,カナダで診療している小児科専門医を対象に,アンケート調査が行われました。
対象となった2489名のうち,583名(23%)が回答しています。
調査の結果,
--CAM利用の有無について問診する医師は38%,
--医師から質問される前にCAM利用を伝える患者は22%
でした。
また,42名(7%)の小児科医が,CAM利用に関連した(因果関係を問わない)有害事象を見出したということです。
さらに,105名(18%)の小児科医は,CAM利用のために診断や治療に遅れが生じたケース488名を報告しています。
以上のデータから,小児科領域におけるCAM利用では,特に重篤な有害事象は知られていないものの,医師とのコミュニケーション不足やCAM利用による診断・治療の遅れといった問題が示唆されます。
今回の調査において,CAMは,未病の状態,症状の初期の段階などでのセルフケアの一環として利用されていると考えられます。
セルフケアを行っていることで,受診の遅れによる診断・治療の遅れということが,今回の結果に反映されたのかもしれません。
特に,小児の場合,成人と比べて症状や状態が変わりやすいこともあり,早めに医療機関に受診することや医療従事者と十分なコミュニケーションをとることが重要です。
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