通常の医学ケアよりも,Weight Watchersによる介入方法が減量に有用であるというデータが,ドイツ,イギリス,オーストラリアでの研究で示されていました。
(
Obesity reviews 2010;11:suppl 1; T3.PO64)
(Weight Watchersは,1960年代から行われている民間のダイエットです。
食事療法・運動療法・行動療法を主体に,グループカウンセリング,個人カウンセリングによるダイエット法を指導しています。)
具体的な介入方法は,
食事指導
グループカウンセリング
食事・フォーミュラ食(置き換え食)
などの組み合わせです。
(なお,Weight Watchersでは,BMI27〜35が最も有効な対象と考えています。)
一般に,通常の医療の範囲における肥満対策としては,欧米主要国でも(日本でも),十分な説明の時間をとることができずに,「食事と運動に気をつけて」といったレベルのアドバイスにとどまり,結果として有効性が認められにくい状態です。
(日本でも一定の食事指導は,保険診療の中で認められているにせよ,Weight Watchersなど民間レベルの細かなフォローアップには及ばないのが現状です。)
フォーミュラ食については,十分なエビデンスがあり,かつ,グループカウンセリングも必ずしも医療機関で保険診療として行う必要性はありません。
個人にとって費用対効果の高い方法として,民間サービスを利用したダイエット方法(電話やインターネットを介した個別相談とフォローアップ,フォーミュラ食,サプリメントの組み合わせ)が選択肢として考慮されるのに十分なエビデンスが構築されつつあると考えます。
(個別の方法についての特異的なエビデンスがすべて揃っているというよりは,ジェネリックな方法として確立しているという意味です。)
(もちろん,民間の提供するダイエット法には,医療の有資格者による個別のサービスが受けられることが重要です。)
日本でも,Weight Watchersのような民間のダイエットサポートとして,既に選択肢があります。
(たとえば,DHCでは,ダイエット相談室により個別アドバイスサービスを行っています。)
グループカウンセリングとフォーミュラ食の有効性が確立している一方,(保険財政が厳しい状況なので)保険診療で認めるのは容易ではないと思います。
(なお,Weight Watchersの研究の一部は,英国NHSとの共同で行われています。)
一方,各企業のレベルでは,社員を対象にしたメタボ対策として,これらの民間のサービスを活用する方法も考えられます
(効果が十分に期待できない日本の保険診療に頼るよりは,社員の健康管理・メタボ対策という点で,企業側の効果も大きいと考えます。)
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