科学誌プロスワンに,ビタミンCの高濃度点滴療法の実態調査が米国NIHのグループから報告されていました。
(
PLoS One. 2010 Jul 7;5(7):e11414.)
近年,高濃度ビタミンC点滴療法を行う医療機関が日本でも増えてきました。
統合腫瘍学の補完療法として実施する場合から,アンチエイジング・予防医学まで応用されています。
今回の研究では,米国における高濃度ビタミンC点滴療法の実態調査が行われました。
(ちなみに,本論文著者のLevineらは,以前,PNASに高濃度ビタミンCによる抗がん作用の機序を報告したグループです。)
具体的には,2006年と2008年のCAMカンファレンス参加者を対象に調査を行った他,症例報告(既報)やFDA有害事象データベースなどが検証されています。
550のうち199の調査票が回収され,172名の医師が高濃度ビタミンC点滴療法を行っていたということです。
(患者数は2006年で11,233名,2008年で8876名。)
平均的な用法用量は,患者一人あたり,28グラムを4日ごとに点滴し,22回の治療を行うというものです。
米国での注射用製剤は,50mlバイアルあたりビタミンC25グラムですので,2006年に318,539,2008年に354,647と推計されています。
(それぞれ75万バイアルと,85.5万バイアル。)
高濃度ビタミンC点滴療法の目的は,
--感染症
--がん
--疲労
があげられています。
臨床データが検証可能な9,328名の患者のうち,
101名が副作用を示しています。
そのほとんどは軽度な症状であり,倦怠/疲労が59名,メンタル面での変化が21名,静脈の焦燥感/静脈炎が6名ということです。
なお,症例報告では,ビタミンCの点滴療法時の有害事象として2例の死亡例が知られています(ただし,因果関係は不明です)。
(高濃度ビタミンC点滴療法の禁忌は,腎障害やG6PD欠乏症(グルコース6リン酸脱水素酸素欠乏症)です。)
論文著者らは,高濃度ビタミンC点滴療法が予想以上に広く利用されているとし,また,許容性も高いと考察しています。
ただし,今回の調査研究は,対象がかたよっているため,米国における高濃度ビタミンC点滴療法の実態を正確に反映しているとはいえません。
今後,高濃度ビタミンC点滴療法の実態調査と有効性安全性に関するエビデンスの構築が期待されます。
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