今月の消化器病学の専門ジャーナル(電子版)に,オメガ3系脂肪酸による脂肪肝抑制作用を示した基礎研究が,米国のグループから報告されていました。
(
Eur J Gastroenterol Hepatol. 2010 Jul 21.)
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は,ライフスタイルの変化によって近年増加している病態です。
今回の研究では,NAFLDモデル動物を用いて,オメガ3系脂肪酸と,エキセディン-4
(exendin-4;ペプチドの1種)の投与による作用が検証されています。
(オメガ3系脂肪酸は,抗炎症作用を有することから,NAFLDに対する効果が想定されるという考えに基づいた研究です。)
具体的には,8週齢のSprague-Dawley雄ラットを用いて,
まず,
--MCD(メチオニン・コリン欠損食)食誘導性非アルコール性脂肪肝炎モデル(n=30)
--通常食投与群(n=30)
の2群に分け,
次に,各群(各n=30)について,
対照食投与群(n=10)
エキセディン-4 投与群(n=10)
オメガ3系脂肪酸投与群(n=10)
の3群(計6群)にて介入試験が行われました。
75日間の投与試験の結果,
MCD食投与群では,非アルコール性脂肪性肝炎が生じています。
(脂肪肝評価スコア(最大50);38±6.7)
一方,エキセディン-4投与群では,スコアに有意な改善は認められていません。
(44±5.16, P=0.07)
これに対して,MCD食にオメガ3系脂肪酸を併用投与した群では,対照群およびエキセディン-4投与群に比べて,脂肪性肝炎スコアが有意に低下したということです(15.6±13.46, P<0.001)。
なお,血中ASTは,エキセディン-4投与群では影響がみられず,オメガ3系脂肪酸投与群で上昇しています。
以上のデータから,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)モデル動物において,オメガ3系脂肪酸による改善作用が示唆されます。
作用機序として,オメガ3系脂肪酸による抗炎症作用の関与が推定されます。
今後,臨床的意義の検証が期待される分野です。
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