今月の循環器病学の専門ジャーナル(電子版)に,クルクミンによる心臓リモデリング抑制作用を示した基礎研究が報告されていました。
(
Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2010 Jul 2.)
心臓の機能が低下した慢性心不全では,繊維芽細胞の増殖により心臓が肥大します。これが心臓リモデリング(改変)という現象で,心筋収縮力の低下を生じます。
心臓リモデリングには,アンジオテンシンなどさまざまな生理活性物質が関与します。
また,一部の医薬品(ACEやARB)は,心臓リモデリングを抑制し,慢性心不全の進行を遅らせることから,心不全治療の早期に用いられるようになっています。
今回の研究では,慢性腎不全に続発する心臓リモデリングに対するクルクミンの効果が検証されています。
(慢性腎不全を伴う腎疾患末期の患者では,心肥大のリスクが高まることが知られています。)
具体的には,慢性腎不全モデルラット(5/6腎臓切除ラット)を用いて,
1.対照群
2.慢性腎不全モデル群
3.慢性腎不全+クルクミン(150mg/kg×2)
4.慢性腎不全+エナラプリル(15mg/kg×2);ACEの1種
の4群について,7週間の試験が行われました。
慢性腎不全モデル群では,タンパク尿,血中尿素窒素増加,血中クレアチニン増加といった腎不全の症状を呈し,心肥大所見や下大静脈の拡張が認められています。
一方,クルクミンあるいはエナラプリル併用群ではこれらの変化が抑制されています。
また,心肥大に伴う細胞内分子の変化(GSK-3βリン酸化, βcatenin発現, calcineurin, pNFAT, pERK, pAKT)に対して,クルクミンおよびエナラプリルは抑制的に作用したということです。
以上のデータから,クルクミンは,慢性腎不全モデルにおいて心肥大および心臓リモデリングの抑制作用があると推察されます。
今後,臨床的意義の検証が期待される分野です。
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