臨床精神医学の専門ジャーナルに,重症うつ病に対するCAM療法を検証した総説が,米国のグループ(MGH)から報告されていました
(
J Clin Psychiatry. 2010 Jun;71(6):669-81.)
重症うつ病は難治性であり,医療用医薬品であっても効果は限定的です。
サプリメントでは,セントジョーンズワートの投与によって重症うつ病の改善を認めたという臨床研究などが知られています。
(ただし,一般に,セントジョーンズワートは,軽症から中等度のうつ病に対して用いられます。
軽症から中等度のうつ病に対して,セントジョーンズワートは,SSRIなどの医薬品と同等の効果を有し,かつ,副作用は医薬品よりも少ないことが示されています。)
さて,今回の研究では,重症うつ病に対するCAM療法の効果について,論文レビューが行われ,各CAM療法に関する有効性と安全性が検証されています。
(American Psychiatric Association's Task Force on Complementary and Alternative Medicineによる総説です。)
具体的には,1965年から2010年1月までのMEDLINE,PsycINFOといったデータベースに基づき,研究の抽出が行われました。
専門家のタスクフォースチームによる議論の結果,
--オメガ3系必須脂肪酸(EPAやDHA)
--セントジョーンズワート
--葉酸
--SAMe(S-adenosyl-l-methionine)
--鍼
--光療法
--運動
--マインドフルネス(心理療法)
といった治療法において一定の効果が認められたということです。
論文著者らは,今後,質の高いランダム化比較試験による検証が必要であるとし,また,これらの治療法に関してはさらに検証するに値する,と考察しています。
通常の近代西洋医学を行う専門家チームがCAMを検証する場合,ネガティブなトーンの結論や考察になることが多い印象があります。
それに対して,今回の精神医学の専門家チーム・タスクフォースによるレビューは,科学的に公正な立場からの妥当な考察になっているようです。
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