今月の肥満研究の専門ジャーナルに,肥満対策としての公衆衛生学的介入方法について検証した研究が,米国のグループから報告されていました。
(Obesity reviews 2010;11:suppl 1;18: T5:RS1.1)
一般に,肥満対策として,個別化医療の視点からは,個人の体質に応じて,食事療法や運動療法,抗肥満薬,サプリメントによる補完療法,フォーミュラ食(代替食)といった介入方法が用いられます。
一方,公衆衛生学の見地からは,政策に対する介入によって肥満対策を行う考え方があります。
具体的には,ジャンクフード課税,野菜や果物への補助金による値下げ,学校でのソーダ類の販売禁止などです。
実際に,米国などでは,フードラベル(食品成分表示など)の規制からジャンクフード課税までさまざまな議論が行われています。
(おそらく日本では,課税方式には心理的な抵抗があると考えられ,食育やフードラベルといった正攻法が一般的な印象です。)
特に,カリフォルニア州では積極的な取り組みが試みられています。
ただし,今回の研究では,南カリフォルニアでの食料品店,レストラン,SES(社会経済状況)との関連を検証した結果,
--最貧層はジャンクフードを購入していない(購入できない)
--(ファストフード店ではなく)レストランで提供される食事が健康にいいとも限らない
といった点が明らかとなり,(エネルギー量や食塩量などに関する)フードラベルやメニュー表示の規制が好ましいという示唆でした。
さらに,数%のジャンクフード税では,肥満対策としては十分な効果は認められなかったというデータも示されています。
(ジャンクフード税がまったく無効かどうかは議論があります。)
肥満は医学生物学的な要因だけではなく,心理的な面,社会や環境の変化による要因も考えられるため,公衆衛生学的視点の政策介入も(最終的な国民負担を軽減するという意味で)必要と考えられます。
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