今月の母子保健の専門ジャーナル(電子版)に、妊婦の葉酸摂取と、子供の喘息リスクとの関連を調べた研究が、米国のグループ(UCLA)から報告されていました。
(Matern Child Health J. 2017 Sep 8.)
妊娠初期においける胎児の脳や脊髄の発達に、ビタミンBの1種の葉酸は必須であり、
米国など世界中の半数近くの国や地域では、穀類に葉酸の強制添加を行っています。
(日本では、H12に、当時の厚生省から妊娠を考える女性は、葉酸サプリメントを摂取するように、という通知が出されています。)
一方
妊娠中の高用量の葉酸摂取と子供の呼吸器系疾患(喘息)リスク上昇との相関に関して、これまでの観察研究では結論が得られていませんでした。
(なお、リスクベネフィットとの点から、妊娠初期に、葉酸サプリメントの摂取が推奨されることに変わりはありません。
先進国の中で唯一、日本では、過去30年間、二分脊椎の患者が増えています。)
そこで、
今回の研究では、
2003年にロサンゼルスで出産した母親から、妊娠中の葉酸サプリメントおよび妊娠時のビタミンサプリメント(prenatal vitamin)の利用状況や開始時期が調べられ、
2006年にフォローアップ調査として、小児(約3.5歳)の呼吸器系の健康調査(呼吸器系の症状や診断など)が行われています。
解析の結果、
まず、全体として、
葉酸サプリメント摂取開始のタイミングと、
喘鳴や下気道感染症との関連は認められませんでした。
次に、
アトピー(アレルギー性鼻炎/花粉症、湿疹、喘息)の既往歴を有する母親を持つ小児に関する解析では、
妊娠初期に葉酸サプリメント・ビタミンサプリメントを開始した群に比べて、
妊娠後期に葉酸サプリメント・ビタミンサプリメントを開始した群において、
3歳児までの小児での喘鳴リスクが67%上昇、
(1.67; 95% CI 1.12, 2.49)
過去1年間の喘鳴リスクが88%上昇
(1.88; 95% CI 1.05, 3.34)
という相関が認められました。
なお、
アトピー/喘息の既往のない母親では、小児の呼吸器系疾患のリスクと、
葉酸やビタミンサプリメントの摂取との間に相関は認められませんでした。
以上のデータから、
一般に、妊婦での葉酸サプリメントあるいはマルチビタミンサプリメントの摂取と、
小児の呼吸器系疾患(喘鳴)リスクとの間には相関は認められないこと、
また、
アトピー/アレルギー性の呼吸器系疾患を有する母親では、
小児での喘鳴のリスク予防のために、妊娠後期ではなく、妊娠初期での葉酸あるいはマルチビタミンの摂取開始が重要であることが示唆されます。
妊婦の葉酸不足リスク改善せず 学会が声明 (毎日新聞)
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