今月の脂質研究の専門ジャーナル(電子版)に,アザラシ油・ツナ油に由来するオメガ3系脂肪酸による脂質代謝への影響を調べた臨床研究が,オーストラリアのグループ(RMIT University)から報告されていました。
(
Lipids. 2010 Jul 23)
DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などのオメガ3系脂肪酸は,抗炎症作用・動脈硬化抑制作用を有し,魚油に由来するサプリメントが広く用いられています。
DHA/EPAの他,ドコサペンタエン酸(DPA)というオメガ3系脂肪酸もあり,アザラシ油や一部の赤肉に含まれています。
今回の研究では,EPA,DHA,DPAの3種類の脂質サプリメントの投与による脂質代謝および血小板機能への影響が検証されました。
具体的には,健康なボランティア30名(各群10名)を対象に,
・ツナ油;210 mg EPA, 30 mg DPA, 810 mg DHA
・アザラシ油;340 mg EPA, 230 mg DPA, 450 mg DHA
・偽薬(sunola)
のいずれかが14日間,投与されています。
(被験者の食事由来の脂質摂取状況は,類似した値です。)
介入試験の結果,ツナ油およびアザラシ油投与群では,血小板中DHA値が有意に増加しました(P < 0.01)。
アザラシ油投与群では,DPAとEPA値も有意に増加し(P < 0.01),血小板表面のp-セレクチン(血小板の活性化マーカー)は有意に減少(P = 0.01)していたということです。
(このとき,DPA・EPA値と,p-セレクチン値は負の相関にあります。一方,DHA値との相関は示されていません。)
その他,アザラシ油投与群において,血漿中の中性脂肪は有意に低下(P = 0.03),HDL値は有意に増加(P = 0.01)しています。
以上のデータから,DPAやEPAの含有量の違いのため,ツナ油よりもアザラシ油のほうが,脂質代謝改善や血小板凝集抑制/血栓症予防という点で有用であることが示唆されます。
なお,一部の国では,漁業資源保全の立場から,一定量のアザラシの捕獲を認めており,機能性食品素材としての利用が行われています。
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