泌尿器科学の専門ジャーナル(電子版)に、ノコギリヤシとハルナール(タムスロシン)の併用投与による効果を示した臨床研究が報告されていました。
(
Urol Int. 2015 Jan 23)
男性では、加齢に伴って前立腺肥大症(BPH)による排尿障害などの症状が生じます。
良性疾患である前立腺肥大症に対して、サプリメントでは、
ノコギリヤシ(学名serenoa repens)が用いられています。
さて、今回の研究では、
ノコギリヤシと前立腺治療薬との併用による効果が検証されました。
具体的には、
オープンラベル比較試験として、
前立腺肥大症に伴う下部尿路症状(IPSS ≥10)を有する男性を対象に、
ノコギリヤシ(320 mg/day)とハルナール(タムスロシン)(0.2 mg/day)の併用投与:n = 60
ハルナール(タムスロシン)(0.2 mg/day)の単独投与:n = 60
の2群について、12ヶ月間の介入が行われました。
評価指標として、
前立腺容積、
PSA値、
IPSS、
LUTS関連QOL、
Qmax、
PVR
が測定されています。
合計103名が試験を完了しました。
(併用投与群50名、医薬品単独投与群53名)
12ヶ月後の時点で、
IPSSは、
医薬品とノコギリヤシ併用投与群で5.8減少、
医薬品単独投与群で5.5減少
でした。
(p = 0.693);
関連症状は、
併用投与群のほうが、単独群よりも有意な改善が認められました。
(-1.7 vs. -0.8 with TAM, p = 0.024)
その他の指標では両群間に有意差は示されていません。
有害事象は、
併用投与群の10名(20%)
単独投与群の8名(16.9%)
に、頭痛や胃腸障害、疲労、低血圧、眩暈などが見出されています。
以上のデータから、
前立腺肥大症に対して、
ハルナール単独よりも、
ノコギリヤシとの併用投与のほうが、より有用であることが示唆されます。
ノコギリヤシに関しての臨床試験や基礎研究では、次のような報告があります。
男性型脱毛症(AGA)に対するノコギリヤシの効果
ノコギリヤシの安全性を示した臨床試験
・ノコギリヤシによる前立腺肥大症と勃起障害の症状改善作用
・前立腺の健康維持にはノコギリヤシ+リコピン+セレン
・ノコギリヤシによる細胞増殖抑制作用
・ノコギリヤシによるBPH症状改善作用
・ノコギリヤシの前立腺肥大症改善作用
・前立腺切除術前のノコギリヤシ投与の効果
・ノコギリヤシ複合サプリによる慢性前立腺炎改善効果
・ノコギリヤシ・カボチャ種子による前立腺肥大症
・前立腺切除術の出血にノコギリヤシは影響しない
・ノコギリヤシでは医薬品との相互作用報告はなし
・男性型脱毛症とノコギリヤシ
・ノコギリヤシの安全性に関する系統的レビュー
・前立腺炎に対する補完療法としてのノコギリヤシ
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