本日、私が査読委員をしている欧州の専門ジャーナルから査読論文の依頼がありました。
論文の査読では、あらかじめ登録されている(私の)専門分野の情報から、適宜、関連する論文が回ってくるのですが、今回の原著論文(投稿論文)は、ジンバブエの伝統医療/補完代替医療に関する調査研究でした。
専門とはいいがたいので、他の査読委員に担当してもらうように依頼するつもりです。
さて、本日の私的なお勉強日記です。
実験治療医学の専門ジャーナルに、レスベラトロールのバイオアベイラビリティと安全性を検証した臨床研究が、欧州(キプロス・ルーマニア・ドイツ)のグループから報告されていました。
(
Exp Ther Med. 2016 Jan;11(1):164-170.)
レスベラトロールは、ポリフェノールの1種で、赤ワインやブドウ、ピーナッツなどに見出される色素成分です。
サプリメントで用いられる機能性成分のトランス・レスベラトロールは、
抗酸化作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用、抗糖尿病作用、心保護作用、神経保護作用などが示されています。
今回の研究では、
トランス・レスベラトロールのバイオアベイラビリティと安全性が検証されました。
具体的には、
オープンラベル試験として、
健康な被験者15名を対象に、
空腹時に、トランス・レスベラトロールを500mg、単回投与し、
24時間後までの定期的な検体採取により、
レスベラトロールの代謝物の測定が行われ、体内動態(Cmax, AUC0-t, AUC0-inf, Tmax, T1/2 and MRT,)が調べられています。
解析の結果、
まず、
Cmax と AUC0-inf は、
レスベラトロールでは、
代謝物(グルクロン酸抱合や硫酸抱合)よりも低値でした。
Cmaxは、
レスベラトロール、グルクロン酸抱合レスベラトロール、硫酸抱合レスベラトロールでそれぞれ71.2±42.4 ng/ml, 4,083.9±1,704.4 ng/ml,1,516.0±639.0 ng/mlでした。
また、AUC0-inf は、ぞれぞれ、
179.1±79.1 ng/ml, 39,732.4±16,145.6 ng/ml, 14,441.7±7,593.2 ng/mlでした。
レスベラトロール摂取による有害事象は認められませんでした。
血中レスベラトロール濃度(フリー体および抱合体)は、先行研究と同程度であることも確認されています。
以上のデータから、
トランス・レスベラトロール(500mg含有タブレット)の単回投与による一定のバイオアベイラビリティと許容性が示唆されます。
レスベラトロールは、ポリフェノールの1種で、赤ワインやブドウ、ピーナッツなどに見出される色素成分です。
レスベラトロールは、長寿関連遺伝子の1つであるサーチュイン遺伝子の活性化を介して、アンチエイジング効果があるのでは、と期待されています。
長寿になるかどうかを確認するためのヒト臨床試験は容易ではありませんが、
最近の臨床研究では、内分泌代謝疾患や生活習慣病の改善効果が示唆されています。
現在、
レスベラトロールは、抗酸化作用や抗炎症作用を有し、代謝に好影響を及ぼすことから、健康維持や生活習慣病予防からアンチエイジングの分野で注目されています。
例えば、基礎研究では、
レスベラトロールによるインスリン抵抗性改善作用
レスベラトロールによる糖尿病予防
レスベラトロールによる糖代謝改善作用
レスベラトロールの心不全リスク低減作用
レスベラトロールによる肥満予防のメカニズム
レスベラトロールによる抗がん作用
レスベラトロールによる大腸がん抑制作用
レスベラトロールの抗炎症作用
動脈硬化抑制作用
という報告があり、
ヒト臨床研究では、
レスベラトロールによる肥満者での代謝改善
レスベラトロールによる糖尿病改善作用
レスベラトロールによる脳循環改善
子宮内膜症関連痛に対するレスベラトロールの効果
レスベラトロールによる運動効果@2型糖尿病患者
レスベラトロールによる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)改善作用
という報告が知られています。
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