今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、大豆の摂取とメタボリック症候群のリスクとの関連を調べた研究が、韓国のグループ(Hanyang University)から報告されていました。
(Eur J Nutr. 2018 Sep 27.)
大豆やレッドクローバー、プエラリア・ミリフィカには、女性ホルモン様作用を有するファイトケミカル(植物エストロゲン)の1種、イソフラボン類が豊富に含まれており、女性特有の病気に対する予防や改善作用などの機能性が知られています。
また、抗酸化作用や抗炎症作用を介した機能性から、生活習慣病のリスク低下作用や抗がん作用も注目されています。
先行研究では,大豆製品の摂取による乳がんや前立腺がん、消化器がんのリスク低下作用が示されています。
大豆イソフラボンによる胃がんリスク低下:高山スタディ
納豆の摂取が心臓病を予防する:高山スタディ
今回の研究では、
大豆たんぱくおよび大豆イソフラボンの習慣的な摂取と、メタボリック症候群のリスクとの関連が検証されました。
具体的には、
メタボリック症候群を有していない、
40歳以上の韓国の男女5509名(男性2204名、 女性3305名)を対象に、
大豆たんぱく質、イソフラボンの摂取が調べられ、フォローアップが行われました。
解析の結果、
まず、女性では、
大豆の摂取と、メタボリック症候群リスクとの間に有意な負の相関が見出されました。
(大豆たんぱく質の摂取の5分位で最高群は最低群に比べて、40%のリスク低減効果, IRR = 0.60, 95% CI = 0.46-0.78, P for trend = 0.0094
大豆イソフラボンの5分位では、最高群では43%のリスク低減; IRR = 0.57, 95% CI = 0.44-0.74, P for trend = 0.0048)
また、
同様の傾向が、男性でも認められましたが、有意差は検出されませんでした。
(大豆たんぱく質の摂取の5分位で最高群は最低群に比べて、20%のリスク低減傾向IRR = 0.80, 95% CI = 0.58-1.11, P for trend = 0.9759,
大豆イソフラボンの摂取の5分位で最高群は最低群に比べて、27%のリスク低減傾向 IRR = 0.73, 95% CI = 0.53-1.01, P for trend = 0.8956)
次に、
個別の項目では、
大豆たんぱく質の摂取および大豆イソフラボンの摂取は、
男女ともLDLコレステロール高値と有意な負の相関が見出されました。
腹部肥満と血圧上昇については、
女性においてのみ、大豆たんぱく質の摂取および大豆イソフラボンの摂取と有意な負の相関が示されました。
また、中性脂肪値は、男性において有意な負の相関が見出されました。
以上のデータから、
大豆製品(大豆たんぱく質及び大豆イソフラボン)の摂取によるメタボリック症候群リスク低減作用が示唆されます。
大豆など植物性食品の一部には、女性ホルモン様作用を有するファイトケミカルの1種、イソフラボン類が豊富に含まれており、女性特有の病気の他、さまざまな生活習慣病に対する予防や改善作用などの機能性が知られています。
最近の研究として、次の報告が知られています。
大豆イソフラボンによる大腸がんリスク低下:メタ解析
大豆イソフラボンによる認知機能改善効果@メタ解析
イソフラボンによる前立腺がんリスク低下作用@日本人男性
大豆の摂取が多いと乳がんリスクが低下@日本人女性
大豆イソフラボンによる認知機能改善効果@メタ解析
イソフラボンの摂取が多い乳がん患者は死亡率が低い:多民族コホート研究
大豆食品の摂取が2型糖尿病リスクを低減:ベトナム
大豆及びイソフラボンが日本人高齢女性の認知障害リスクを抑制する
DHCでは、
大豆イソフラボン、
プエラリアミリフィカといったサプリメント、レッドクローバーを含む女性向けの
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エクオールとは、腸内細菌により、大豆イソフラボンの一種であるダイゼインから産生されます。
エクオールは、イソフラボンよりも高い生物活性を有しており、
更年期障害の改善、閉経後の骨粗鬆症予防、心血管疾患の予防作用が示唆されています。
先行研究では、次の報告があります。
エクオール(10mg)が日本人女性の骨の健康維持と心臓病予防に有用
膣のアンチエイジングにエクオールの働き
ただし、
エクオールの体内産生には、腸内細菌叢が関与するため、エクオールを産生できる人とそうではない人がいることがわかっています。
日本人でエクオールが産生できるのは、50-60%程度です。
また、食習慣の変化により、若年者では、エクオール産生者の割合が減少しており、
日本人の若年女性では、20-30%の人しか、エクオールを産生できていないと報告されています。
エクオール産生者は、非産生者に比べて、大豆イソフラボンの機能性/健康増進効果や未病対策効果を得られると考えられます。
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