今月のアレルギー喘息免疫研究の専門ジャーナルに、高齢の喘息患者におけるビタミンDの意義を調べた臨床研究が、米国のグループ(University of Pennsylvania)から報告されていました。
(
Allergy Asthma Clin Immunol. 2014 Sep 5;10(1):48.)
ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。
今回の研究では、
高齢の喘息患者におけるビタミンDの臨床的意義が検証されました。
具体的には、
65歳以上の喘息患者を対象に、
秋から冬にかけて、
12週間の研究として、
毎日2,000 IUのビタミンD3サプリメントが投与され、
血中ビタミンD(25OH-D)とカルシウムが介入の前後で測定されました。
解析の結果、
試験開始時の時点において、
29%の被験者がビタミンD欠乏(deficient)であり、
50%の患者がビタミンD低下(insufficient)が認められました。
介入後、
血中ビタミンD値は、
24.3±9.2 ng/ml (60.7±23 nmol/L) から 34±7.1 ng/ml (84.9±17.7 nmol/L)へと有意に増加しました。
(p<0.001)
一方、カルシウム値には有意な変化は認められませんでした。
ビタミンD値に男女差や地域差は認められませんでした。
また、
血中ビタミンD値と、ステロイドの吸入用量との間にも有意な差はありませんでした。
ビタミンD 値は、
喘息のコントロール良好群に比べて、
コントロール不良群(Asthma Control Test, ACT≤19)において、
有意に低値であったということです。
(p<0.05)
その他、
試験開始時に喘息コントロール不良群では、
試験終了時点において、
ACTスコアが有意に上昇していました。
(p<0.04)
以上のデータから、
高齢の喘息患者では、
ビタミンD欠乏や不足が広く認められ、
特に、
喘息コントロール不良の患者では、
ビタミンDの低下が顕著であること、
ビタミンDサプリメントの投与によって、
ACTスコアの改善が認められること
などが示唆されます。
今後、高齢喘息患者におけるビタミンD3サプリメント投与の臨床的意義の検証が期待されます。
近年、ビタミンDは、骨の健康維持だけではなく、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な効果が示されています。
一般に、
健康保持や疾病予防の目的で利用されるビタミンD3サプリメントの摂取量は、
1日あたり
25マイクログラム(1,000IU)から50マイクログラム(2,000IU)です。
ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。
日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
DHCでは、
ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000 IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/mL増加する、
という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。
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